小さな決意
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病室から出た俺は足早に病院から出ると
外で待っていた舎弟を無視して
車に乗り込み拳を強く握った。


たまたま家の近所を歩いていたら
男の子たちに何かを言われて
泣いている女の子を見つけた。


1人に大勢でいじめる行動に
少し腹が立った俺はそっと近付き
男の子たちの1人を投げ倒した。


俺に気が付いた男の子たちは
引きつった顔をして逃げて行った。



横を見ると涙を拭っている女の子。
よく見れば服は汚れていて
身体はやせ細っていて
今にも折れそうだった。


そんな女の子が何故か気になって
その日から俺はその女の子を
探してはいじめられ泣いている
女の子の盾になった。


近所の人からその子が
"名前"と言う名前だと聞いた。


でも名前を知ったからといって
名前を呼んだこともなければ
話しをすることなんて1度もなかった。



毎日のように俺は名前といた。
何故か名前と一緒に居ると
心が落ち着いたから。


しばらく一緒にいると
自分の気持ちに気が付いた。


そして名前が何かに怯えていたのも
本当はずっと前から気が付いていた。

名前の腕や足から見えた痣や
口元の切り傷が日に日に
増えていたことも気が付いていた。

名前の目からどんどん
光が差し込まなくなったことにも
俺は気が付いていたのに…


何でもっと早く名前の叫びに
少しでも気付いてやれば
あんな最悪な事態になるまで
傷付かずに済んだのにと
俺は更に拳を強く握る。

拳から血が滲み赤く染まった
手を眺めると

名前が流した血は
こんなもんじゃないと思うと
心が痛くなって名前のことを考えた。


溢れた血が乾く頃
俺は1つだけ決意した。


これから先何があっても
名前のことだけは必ず守ろうと…





END
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