目が覚めたら
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「っん…」


目を開けると真っ白な天井。
自分に掛けられいる布団を見ると
いつも使っていた汚れた布団ではなく
真っ白で綺麗な布団に
少し驚きながら手でなぞった。


「気がついた?」

声のする方に目をやると
笑顔の看護師さん。

「先生と家族の方呼んでくるね」

そう告ると看護師さんは
立ち去ってしまった。


(かぞく? あいつが来る…?嫌だ!)


急に恐怖で身体が強張った。

(逃げなきゃ)


布団から出ようとしたけど
フラフラして上手く立てない。

自由にならない足を必死で動かしていると
無情にも扉がゆっくり開いた。





(もう終わりだ)


命からがら生き長らえたけど
もうここで終わるんだ。

諦めに似た表情で顔を上げると

「名前ちゃんっ」
いきなり誰かに抱きしめられた。

人に殴られることはあっても
抱き締められたことのない私は
突然の行為に硬直するしかなかった。

「ごめんね、ごめんね」
涙を流し何度も謝るその人は
私のお婆ちゃんだと言う。

生まれてから一度も会ったことのない
人をいきなりお婆ちゃんだと言われても
頭が追いつけなかった。

でも

「これから一緒に暮らそうね。
ずっと一緒だよ。」


シワシワの手で私の頭を撫でる
お婆ちゃんの温もりが私には暖かすぎて
"悲しい"時や"痛い"時に流れていた涙
じゃない涙が頬を伝った。





END
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