心に広がる虚無感
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薫ちゃんのお父さんが殺されたと聞いて
ショックで何もする気になれなくて
私はずっと部屋に閉じこもっていた。



でも学校には行かなくちゃいけなくて
一瞬でも気を緩めたら涙が溢れるから
心を強くして登校した。


あの日から姿を表さなくなった
薫ちゃんが心配で堪らなかった。





会いたくて一目でも薫ちゃんが
見たくて私は薫ちゃんのお家の
敷地に入った。



いつも玄関前にいる舎弟に
声をかけたが薫ちゃんは留守らしい。

どうしようかと悩んでいたら

「組長に会ってってください」

と言われ私は部屋に上がった。


案内された部屋には大きな仏壇があって
その上に薫ちゃんのお父さんの写真が
飾られていた。


仏壇の前に座って手を合わした。



思い出すのは二カッと笑って
私を励ましたり褒めてくれた
薫ちゃんのお父さんの姿。


つっーと涙が零れる。


「薫ちゃんのお母さんは?」


心配になって舎弟に聞くと

「ずっと部屋で塞ぎ込んでて…」

苦しそうに目を伏せた。


「帰るとき声掛けてってください」

舎弟は言いながら
玄関へと歩き出した。



私はもう1度薫ちゃんの
お父さんの遺影を眺め
手を合わせて目を閉じた。





END
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