優しいぬくもり
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今日もいつものように
薫ちゃんのお家の庭を眺めていると
薫ちゃんのお父さんが
話しかけてくれた。
「名前は良い子だな」
いつもの二カッと笑う笑い方じゃなく
ふわりと薫ちゃんのお父さんは笑った。
そして私の頭を優しく撫でると
舎弟の1人に呼ばれ去って行った。
私はいつの間にか薫ちゃんのお父さんに
頭を撫でられるのに慣れていた。
「名前ちゃん」
振り向くと少し悲しそうな顔をした
薫ちゃんのお母さんの姿。
「どうしました?」
「何でもないのよ…」
私に手を伸ばし優しく
抱き締めてくれた薫ちゃんのお母さん。
優しい匂いに目を閉じた。
夕方薫ちゃん一家とご飯を食べて
本当の家族のように笑いあった。
薫ちゃんにお家まで送ってもらって
たわいない話をして別れた。
END