成長する心と身体
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お婆ちゃんとの生活に完全に慣れて
私と薫ちゃんは小学校を卒業して

桜の花が舞い散る中
新品の制服に身を包み
薫ちゃんと毎朝登下校した。


いじめもなくなり気が付いたらもう
中学2年生になっていた。




毎日一緒に登下校しているとは言っても
薫ちゃんは相変わらず無口で

「薫ちゃんっおはよ!」

元気に朝の挨拶をしても

「…はよ、名前」


しか言ってくれない薫ちゃんに
苦笑いしながらも私は満足だった。







中学生になった薫ちゃんは
どんどん身体が大きくなって
少し見上げないと目も合わなくなった。


少しづつ大人の男の人に
成長する薫ちゃんに
私はドキドキしっぱなしだった。



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私は用がなければ毎日のように
薫ちゃんのお家に遊びに行っては
お庭にある立派な木を眺めていた。





「名前」

振り向くと大柄な男の人が立っていた。


「薫ちゃんのお父さん。
こんにちは、お邪魔してます」

ペコリと頭を下げると
二カッと笑う薫ちゃんのお父さん。


薫ちゃんのお父さんは
花山組の組長さんをしているんだけど
テレビで見るような怖い組長さんじゃ
なくって凄く優しい人柄に
私はすぐに打ち解けた。



「また庭見てんのか?飽きるだろ?」

呆れたように庭を眺める
薫ちゃんのお父さん。


「いいえ、庭の木も、鯉の泳ぐ池も
私には凄く楽しいです」

笑って答えれば

「変わった子だ」

と薫ちゃんのお父さんも
二カッと笑った。


「名前ちゃん」


優しい声が私を呼ぶ。


「お夕飯出来たから食べて行って?」

その声は薫ちゃんのお母さん。


身体が弱い薫ちゃんのお母さんは
余り部屋から出ないけど
ご飯のときは必ず声を掛けてくれる。


薫ちゃんのお母さんの目を見てると
薫ちゃんにそっくりだった。


「ありがとうございます。
ご馳走になります」

私は2人に頭を下げると

「礼なんか要らねぇ」

「気遣わないで良いのよ」

笑う2人に私も笑った。





END
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