煌めきの裏側
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お昼過ぎに起きて部屋の掃除を済ませ
溜まった洗濯をセットして
ソファで寝転がっていると
クラブ用の携帯が鳴った。


携帯を手に取り届いたメールを
読むと差出人は"山川"の文字。


(…しつこいな…)


名前を見ただけで眉間に
シワが寄った。


"山川"は最近クラブに通い出した
新規の客で1度席に付いただけで
酷くあたしを気に入り
事あるごとに口説いてくる男だった。


(客に靡くわけないしー)


"山川"に毒づきながらメールを読むと
同伴の誘いだった。


でも先に先約があったから
丁重にお断りのメールを送ったら
ちょうど洗濯が終わる音がした。


あたしは大きく欠伸をして
洗濯物を干しに向かった。





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夕方ピンクベージュのYシャツに
タイトな黒い膝丈のスカートに着替えて

少し濃いめにメイクして
髪を緩く巻いた。



(ケバいな…)


鏡に映る自分を再度確認して
家から出た。





待ち合わせ場所に行くと
1台のクラウンが止まっていて
車に近付き中を確認して
後ろの座席に座った。


「お待たせしました」

「名前!久しぶりやな」

「3ヶ月ぶり、くらいですかね」

「そうやな、会いたかったで」

関西弁で喋るこの男は
"本城忠勝"と言って飲食店で有名な
本城グループの社長さん。


昔働いていたキャバクラの友人から
本城さんを紹介されて
気に入って貰ったあたしは
本城さんの気さくな人柄に親しみを持ち
キャバクラを辞めた今でも
こうして会っていた。


「店はどうや?」

「お陰様で順調です」

「入って1ヶ月でNo.1なって
それからずっとキープしとんやもんな」

ガハハと笑って本城さんは言う。


No.1の話は自分にとって
気恥ずかしい話だったから

「本城さんお腹、空きました」

と話題を変えた。


「おぉ、そうか!じゃ飯やな!」



本城さんとあたしを乗せた
車は走り出した。





END
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