難癖のある負債者
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プルルルル…


「もしもし、田畑さん?
今日利息払う日だよ」

リストに沿って今日回収しなきゃ
いけない奴隷くんたちに電話を掛ける。

「…すみません。お金ないんです…」

電話口から聞こえるか細い声。


「"ない"じゃなくて、払わなきゃ」

少し声を強めた。


「年金も生活費に消えたし、
もう生きていけない…」


(はぁ…)


「年金使っちゃたんなら、子供から
借りたら?子供社会人だよね。」

本人が払えないなら
身内に払わせればいい。



「子供にバレたら困るのよ!」


電話口のオバ様は声を荒げていた。



「じゃ自分で払うしかないね。
今日の夕方家行くから。
逃げたら分かってるよね?」


語尾だけ強く言って受話器を下ろした。



…疲れる




柄崎くんはこんな奴隷くんたち
相手にしてたんだ。

あたしが担当してる奴隷くんたちは
みんな手土産片手に
利息を返しにわざわざやって来る。

自分の足で利息を回収しに
行ったことのないあたしには
未知の世界だった。



(…頭痛いなぁ)




「名前」

微頭痛に眉を寄せていたら
丑嶋くんに呼ばれた。

「なーにー?」

頭痛を気付かれたくなかったから
呑気に返事をした。

「飯、行くぞ」



それだけ言うとスタスタと
事務所から出て行ってしまう
丑嶋くんを慌てて追いかけた。





END
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