何気ない朝のやりとり
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ジリリリリっ



耳障りな音に眉を潜めながら
手だけ伸ばして
音を止めようと辺りを探る。


「…うーん…」



頭がなかなか覚醒しない。
そりゃそうだ。

昨日はクラブの仕事終わり
酔っ払った柄崎くんと
シラフの丑嶋くんに付き合わされて
絡んできた柄崎くんと朝方までお酒を
浴びるように呑み合っていたからだ。




「良い加減止めろよ」



その声と共に煩い音の元凶が止み
頭痛が少し収まった。


布団から顔だけ出せば
眉間にシワを寄せた不機嫌そうな彼。


小学生から幼馴染の
丑嶋 馨。





「…丑嶋くん、おはよー」

軽く伸びをしながら言うと
"ホレ"と目の前に
水が入ったコップを差し出される。


それを勢い良く飲み干せば
だんだんと頭が動いて来た。


「潰れるまで呑ンでじゃねェよ」

カラになったコップを机に置いて

「呑ませたのはそっちじゃんー!」

抗議しながら丑嶋くんに手を伸ばし
起き上がらせてもらう。



「早く行かなきゃ遅刻だ」

時計を見ながら呟いて
部屋を出た丑嶋くんに

「社長が遅刻ってどんな会社よ」

笑いながら着替えて軽くメイクをした。






うーたんと遊んでいた丑嶋くんに

「おまたせっ!」

と後ろから抱きつけば

「じゃ行くか」

ヒラリとかわされた。


「みんな行ってくるねー」

お留守番のうさちゃんたちに
別れを告げ駐車場まで歩く。



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「今日は忙しくなるかな?」

「…多分な」

「奴隷くんたちいっぱいくるね」

運転する丑嶋くんに笑いかければ

「フン」

と鼻で返された。


いつもの丑嶋くんの笑い方。


あたしはこの笑い方が好き。



そうこうしているうちに
カウカウファイナンスの
事務所に着いた。





END
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