強がりな私
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「…名前別れよ…」


分かっていたよ?
ずっと前から…

「…嫌だよ…馨ちゃん…」


だけど引き止めたかった。
馨ちゃんの心も、身体も…


「…もう無理だ」


もう1度振り向いて欲しかった…


「…馨ちゃんっ、行かないでっ…」


もう1度チャンスを…ください…





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私が馨ちゃんに一目惚れして
何度も告白して
やっと付き合ってもらった。


「馨ちゃん好きだよ!」


「名前はそればっかりだな」


「だって好きなんだもん!」


「…はいはい」


「本当だってば!」


「…名前、分かったから」



付き合った頃は馨ちゃんの
彼女だってことが
物凄く嬉しくて私は浮かれてた。



始めてのデートに
始めてのキス

…そしてお泊り




「…名前本当にいいンだな…?」


「…うん」


「名前…好きだ」


「あたしも…」




馨ちゃんと重なって
たまに喧嘩してすぐに仲直りして

ずっとこんな風に
過ごせるんだと思ってた。



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だけど時間が経つにつれて
少しづつだけど変わり始めていた。


「馨ちゃん、来週会える?」


「…名前悪い。ちょっと忙しい…」



馨ちゃんが私に笑ってくれることも
馨ちゃんが私に触れてくれる回数も
どんどん減っていた。


「名前今から帰るわ」


「うん!待ってる」


初めの頃は仕事が終わったら
すぐ電話してくれたのに
いつの間にか携帯も鳴らなくなってた…


この携帯は馨ちゃんの着信を
伝えてくれない。

馨ちゃんの指定メロディだけ鳴らない。




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「馨ちゃん私のこと好き?」


「…好きじゃない」


「え?」


「…名前愛してる」


「っ!…私も馨ちゃんを愛してる!」



あの頃の私たちでいたら
きっと幸せ掴めたはずなのに…

いつもと変わらない日々を
馨ちゃんと過ごせたはずなのに
どうして馨ちゃんは去って行くの…?



教えてほしい…


私の気持ちは無視なの…?


もう1度だけ考え直して欲しい…



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久しぶりに会えたのに
馨ちゃんのちょっとした一言で
拗ねた私は家を飛び出した。


そんなことしても馨ちゃんは
追って来ないって分かってるのに…




このまま一緒にいても2人の溝は
深まるだけなのに
馨ちゃんと一緒にいたいと思う
あたしはワガママなのかな…?




大喧嘩をした夜

「馨ちゃんなんて大嫌い!」


「ふぅん…」


「出てってよ!」


「…名前には付き合いきれねェ」


遠くなっていく馨ちゃんの背中


たった一言、素直に

「ごめんね」って言えば良かったのに
言葉が喉で突っかえて出て来なかった…




最初はお互い想い合っていたのに
だんだん気持ちにズレが生じてきて
お互いが空回りしてた…




あの時少しでも馨ちゃんの気持ちに
歩み寄れたら良かったのに
強がりな私は出来なかった…


「じゃあな、名前」


馨ちゃんは簡単に別れを告げた…



馨ちゃんと恋をして恋愛がこんなにも
難しいんだと痛いほど味わった…







END
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