Mad love…
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私と丑嶋さんの出会いは運命。


だって私の右手の小指には
赤い糸が巻かれてあって
その先を辿れば丑嶋さんの
左手の小指に巻かれてあるんだから。





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この仕事に就いてから
私は毎日仕事に行くのが幸せだった。




「社長、おはようございます!」


事務所に着いて元気に
声をかければ


「…はよ…」


目も見ずに短く返事してくれる人が
この会社の社長の丑嶋さん。


働き出してから半年。
丑嶋さんは必要なこと以外は話かけて
くれないけどそれでも幸せだった。



「…名前回収行ってこい」


「はい!」



たまに呼んでくれる名前に
ふとしたときに合う視線に
私の鼓動は早くなっていく。





仕事が終わって家に帰り
ベットに寝転べば
目蓋に浮かぶ丑嶋さんの顔。


いつか私にもみんなに見せる笑顔
見せてくれるかな…なんて
期待しながら今日も眠りに落ちる。





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丑嶋さんは基本的に不機嫌で
少しでも負債者に絆されようものならば

「名前代わりにお前が借金払うか?」

キツイ言葉が返ってくるし


丑嶋さんの身体を心配して


「社長、野菜もちゃんと食べなくちゃ…」


「あ?うるせェよ」


眉にシワを寄せて睨んでくる。



だけど私はそんな鋭い瞳をする
丑嶋さんが好きなの。




月曜 ガリガリ君のアイス食べてたね。
火曜 逃げた負債者に怒鳴ってたね。
水曜 食堂でオムライス食べてたね。
木曜 書類見ながら眉間揉んでたね。
金曜 駄菓子屋の前にいたね。
土曜 柄崎さんと居酒屋にいたね。
日曜 買い物袋下げて歩いてたね。



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そんな何気ない丑嶋さんの姿を
見るだけで私の胸はときめくんだ。



この気持ちを言葉にして
丑嶋くんに伝えたら


「社長、好きです。」


「あ?…名前ナニ言ってンの?
頭やられた?」



きっと丑嶋くんは
私の気持ちをバカにするでしょう?



だから丑嶋くんを思う気持ちは
絶対に知られてはいけない。




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ヤキモチ焼な私を許して。

丑嶋くんに近付く女が憎いの。

麻耶ちゃんや千秋さんに話しかけないで
私に話しかけて?

そう、嫉妬する私は異常です。




ただの会話なのに


「社長、千秋さんに優しいんですね」


「社長、摩耶ちゃんが気になるんですか?」


「…名前黙れ」



嫉妬する私を睨む丑嶋さんの
冷たい瞳に欲情する。


そんな気持ちを言葉にしたら
丑嶋さんは何て言うのかな…?


怖いから秘密にしてしまおう…



月曜 アイスは梨味だよね。
火曜 怒鳴る声にも興奮したよ。
水曜 ケチャップはいつもより多めに。
木曜 書類見るふりして盗み見た。
金曜 こっそりあとを付いていったの。
土曜 すぐ隣にいたの気付いてた?
日曜 うさぎさんには優しいのね。



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丑嶋さんを想えば思うほど
胸が焼ける様に痛くて…痛くて…



眉間に刻まれるシワも
耳障りの良い声も
少し癖のある髪も
薄く形の良い唇も
煙草を吸う横顔も
逞しい身体も
繊細な指も
鋭い視線も

全部1つ残らず私の記憶に焼き付く。


全て私だけのモノにしたい。



そう強く思うけど言葉にはしないで
私は丑嶋さんの側にいる。


だってこんな気持ちを言ったら
丑嶋さんは離れてしまうから。

側にいれるだけで幸せなの。


丑嶋さんを想う気持ちは誰にも内緒…





END
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