うさぎの涙
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なンで泣いてンだよ?

そんな顔すンなよ…







事務所で働いていた
名前に告白されて付き合って1ヶ月。


喧嘩もなく順調にやってる。
…と俺は思ってる。




今日は名前は休みで
柄崎と高田と摩耶との4人だけ。

名前のいない事務所は
なんとなく静かっだった。


営業時間が終わり
俺は名前に電話をかけた。


「もしもし」

「今から名前ン家行くわ」

「うん!」


可愛く返事する名前に
笑みが溢れるのを抑え車に乗り込んだ。




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ピンポーン



名前の家に着いて
チャイムを鳴らす。


ガチャっとドアが開けば
可愛い名前の顔。


「…グシュ、丑嶋くんおかえり」


鼻を啜りながらドアを開ける名前に
俺の眉は寄る。


「おぅ…」


俺が玄関に入れば
名前はパタパタとキッチンに向かう。



さっきの名前目が赤かったな…



もしかして泣いてたのか?




急に胸が騒ついて
俺は名前のいるキッチンに向かった。




「名前」


ビクっ


一瞬名前は俺の声に肩を震わした。



それを見逃さなかった俺は



「なンかあった?」



1番自分の中で優しい声で言ってみた。



「…え?なんでもないよ?」



今だに目を真っ赤にして
俺を見る名前。




「じゃ、なンでそンな顔してンの?」




「えっ?そんな顔?」




今にも泣きそうな顔で名前は言う。





「なンで泣きそうな顔してンだよ」



なかなか本心を言わない名前に
痺れを切らした俺は
次第に眉間にシワが寄っていく。



「あっ…それは…」



口ごもる名前に


「言えよ!」


強く言うと



「…たまねぎ…」


小さな声で返ってきた。




「あ?たまねぎがなンだよ?」


意味が分からず問うと


「…たまねぎ、みじん切りしてて…」


口を紡ぐ名前に


フンと笑い


「それならさっさと言えよ」


名前の頭を撫でたら



「ごめんなさい…」


と謝る名前に胸が痛んだ。



俺の好物のために一生懸命涙流しながら
料理作ってくれてたのに

勝手に勘違いして勝手に怒鳴って
俺名前に嫌われるかもな

なんてガラにもなく考えたら
急に恥ずかしくなってきて
自嘲気味に笑った。



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「オムライス美味しかった?」


食べ終わった俺に伺うように聞いてくる
名前に


「あぁ、美味かった」


と答えれば


「良かった」

ニコニコ笑う名前。



俺はそのときニコニコする名前の顔が
改めて好きなんだなと気付かされた。




そういや真っ赤な目した名前
うさぎに似てたな。


今度名前に言ってやるか…な



そう考えながら俺の腕の中で
無謀暇に眠る名前の頬に口付けた。





END
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