どうしたらお前は笑うんだ
____________________________





最近名前の態度に
凄く苛々すンだよな…


それは数週間前から気になった
名前の不可解な行動だった。






「それでね、壊れちゃったの…」

「それは大変でしたね」

「ドンマイです」


ションボリする名前に
心配そうな千秋に
淡々と言う摩耶。

俺が事務所に入ると
女3人は仲良さそうに話していて
何やら名前が何かを壊したらしい。


「何壊したの?」

後ろから近付いた俺に
びっくりする名前は

「っ!いえ、あの、何でもないです!」

慌てたように話し出した。


千秋も摩耶も視線を逸らしている。



(聞くんじゃなかった)


心の中で呟きチッと舌打ちした。





名前は

「回収行って来ますっ!」

ぎこちなく事務所から出て行った。



「なンだ?あいつ」


「さぁ?」

「仕事、仕事」

そそくさと仕事に戻る千秋と摩耶。



何故か苛ついて俺はワザと
音を立てながら椅子に座った。






____________________________



次の日事務所に行くと


目の前を名前と高田が歩いていた。



「やっぱりそうなんですかね…」

「そうとは限らないよ?」

「でも…どうしたらいいか…」


何かを高田に相談している名前。



「よぅ、何か悩みか?」

「っしゃ社長!」

「社長、おはようございます」


俺の姿に昨日と同じような態度。

更に視線を合わせようとしない。

なンだよ、また苛々して来た。




俯く名前を置いて
俺は事務所へと早足で向かった。








____________________________




もうそろそろ昼飯の時間だ。

何食うかな。


頭の中で迷っていると
名前が柄崎に近付く


「柄崎さん、お昼行きませんか?」

「名前とか?悪いけど社長と
ラーメン行くんだよ」

(そンな約束したか?)

柄崎の答えに

「そうですか」

何故か肩を落とす名前。

「…じゃ、3人で行くか?」

俺の提案に

「いいっすね!」

柄崎も乗る。

「えっ!悪いですよ!
2人で行って来てください」

名前が焦ったように言い放ち
事務所を出て行ってしまった。


まただ。

なンだよ、まったく…


こいつ、俺のこと避けてンのか?

知らぬ間に眉間にシワが寄っていた。









____________________________





回収後俺は残った仕事をするために
事務所に戻った。


就業時間はとっくに過ぎてるのに
事務所の灯りが着いていて


"柄崎か高田がまだ残ってンのかな"

と思いながら事務所に入ると
書類を纏めている名前がいた。



名前は入ってきた俺に気付くと
一瞬目を見開きすぐに俯いた。



あぁ…この態度が苛つくンだよね。





名前の態度に痺れをきらした俺。





「名前」

「…はい」


「名前さ、ここ毎日俺ンこと
避けてるけど何のつもり?」


俺の問いに目を合わせず
更に俯く名前。


「おい」

「…」

「おい!!」

ビクッと名前の肩が揺れる。



「言わないとどうなるか分かるよね?」

何故か意地でも答えが聞きたくて
名前を脅してしまった。






「っ…社長のことが、」

「ナニ?」

冷たく言うと



「…す、好きに、なってしまいまして…」


(あ?好きだ?)


「で、でもっ、好きになっては…い、
いけないと思ったら」


(こいつ、バカだな)


「…で、その態度ね」


目にいっぱい涙を溜めた名前と
久しぶりに目が合った。


「ごめ、んなさい…避けてました…」

最後まで言うとポロポロと
涙が頬に伝い出す。

正直に言う名前に
最近苛ついていた理由が
やっと分かった。


「…泣くな」

名前の涙を拭う。


「名前の泣いてる顔は見たくねェ」


少し強引に名前の腕を
掴み立ち上がらせた。


「好きだ」



「え…な、なんで?」


俺の告白に文句を付ける名前を
強く抱き締め


「名前が好きだ」



耳元で囁くと更に泣き出す名前。



泣かすために言ったンじゃねェのに…




泣き続ける名前に


「どうしたらお前は笑うンだ?」


俺が聞けば名前は困ったように眉を下げ



「こんなときです」

顔をあげて真っ赤な顔をしながらも
可愛い笑顔で笑ってくれる名前。


(あぁ。俺この顔が1番好きだわ)



言葉にはしないで俺は強く
名前を抱き締めキスをした。





END
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -