「ひどいじゃない。
久し振り会ったのに、殺そうとするなんて」

『…』

「それとも今のあなたにはわかっているのかしら?
この腕のこと」


そういってのっくら、と大蛇丸は腕を持ち上げた。
包帯でぐるぐる巻きで、当然腕は見えない。
しかし、今までの症状を合わせると、容易に結論へ至る。


『何か、特殊な呪印をうけた。
それで腕が使い物にならない。
…違いますか?』

「!
…ふふふふ…
おみごとよ、姫ちゃん。
やっぱりあの時あなたを引き取っておくべきだったわ…」

「やめろ、大蛇丸」


あの時、って何。
そう聞く前に綱手に中断される。
意味ありげに大蛇丸はにやりと笑って、話を続けた。


「…人はいつか朽ちるものなのよ。
たとえば、あなたの師匠が最愛の人を二人も死なせてしまったようにね」

『?』
((最愛の人を二人?))

「…大蛇丸。
おちょくるのはやめなよ」

『!…綱手様っ!!』


心臓が圧迫されたような振動が体を貫いて、振りかえると、壁にこぶしをぶつけている綱手がいた。
綱手の馬鹿力に耐えられなかったのだろう。
石の破片が転がった。


「五つ数える。
その間に消えろ!」

「落ち着いてください。
あなたにとっても悪い条件では…」


綱手の馬鹿力を目の当たりにしたメガネの男は、綱手の怒りを鎮めようとする。


「5…4…」


しかし、カウントダウンは始まる。
大蛇丸はため息をついた。


「…おまえの愛した弟と男を生き返らせてあげる…といったら?」

「!!!」


その瞬間、背後の綱手の殺気が嘘のようにきえさった。
じっと大蛇丸の目を凝視する。


「私たちがまだ消されていないってことは、交渉成立ってことかしら?」

「………その腕を直したら、お前は何をするつもりだ?」

「…ほしいものをいただくついでに、木の葉をつぶしに行くのよ」

『…木の葉をつぶす?!
三代目を殺してなお?』

「そうよ、姫ちゃん。
あなたには難しい話だろうけどね」


隣を見ると、遠い目で何を考えているのか、押し黙っている。
きっと、この二人につられてしまっているに違いない。
話はさっぱりわからないけれど、大蛇丸がいいことをしに誘いに来ているわけではない。


『綱手様
こんな奴の口車に乗ってはいけません。
木の葉をつぶすって言ってるんですよ!
木の葉は綱手様にとって大切な里なのでしょう!』

「おだまり、姫!!」

『!……』


綱手の思いつめた表情に、熱くなった頭が一気に冷める。


「お答は今すぐでなくても結構です。
ただし1週間後にはもらいたい。
…それと、生き返らせるためにはいけにえが必要です。
それはそちらで二人用意してください」


綱手の考え込む姿に、満足そうにうなずく大蛇丸。


『大蛇丸様!』


振り返ってにらむと、にやりと笑う大蛇丸がいた。
飛びかかって勝てる相手ではない。
それにメガネ男がいる。
だめだ、勝てない。


「そろそろいこうかしら…カブト。
綱手…色よい返事を期待しているわよ」

『まちなさいっ!!』


クナイを取り出したが、遅かった。
短冊城の道には、綱手と姫の二人しか残っていなかった。
隣ではまだ思いつめた表情の綱手がいる。


今はまだ、綱手を信じることしかできない。
大蛇丸の策にはのせられない。
綱手様はそんな人ではないはずだ。
…大蛇丸様。
あんな人なんかには。

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