綱手の周りにまとわりつくイライラのせいで近づくことさえ、困難な状況。
綱手の怒りを鎮めるには、慰めの言葉でも、怒りでもない。
ただ、ひたすら待つことのみ。
そうすれば、ころっといつもの状態に戻るのだ。
そう、知っているのだけれど。
なかなか綱手の怒りはおさまらない。
綱手が火影を断ったこと。
何か関係しているのだろうか。

知らない道を気の向くままに歩き続けて、五分。
綱手は、怒りに道を考えずに歩いていたようだ。
そうでなくてもただでさえ素晴らしい方向音痴なのに、ふらふらと歩けば結果は決まっている。
迷子になるのに、そう時間はかからないのだ、綱手様は。


『…綱手様。
ここ、どこですか?』


たまらなくなって、そう聞いてみる。
案の定


「…さぁ…」


期待はしていなかったけれど、やっぱり。
さぁ…って
…迷子…だ。


『綱手様、とりあえず、寝る場所探しましょうよ。
このままじゃ、道のど真ん中で野宿です』

「そんなことは私だってわかっているさ」

『わかってません!
もうちょっと、真面目に道を選んでください!
そっちはさっきも通りました』


能天気に、なおもぶらぶら歩く綱手に脱力する。
…まぁ、怒りが収まってくれただけでも、良しとするか。
やっと綱手の隣で歩ける、と。
足を踏み出した、ちょうどその時だった。



強烈な爆発音がして、地面が豪快に揺れた。
条件反射で、近くの屋根に上る。
ついで姫は下敷きにされそうだった、幼い子を救いあげて、母親に届けた。
素早く綱手の隣に降り立つ。
遠くを睨む綱手。
その先に黒い煙が立ち上っているのが見えた。
煙の先は見えない。


「…姫、いくよ」

『はい!』


その場所は、それから何分もしないうちにわかった。
あの有名な短冊城…だった。
昨日、綱手と一回りして、姫が感激した城だった。
この城の壮大さを気にいって、一人はしゃいでいた昨日。


『……お城が…こわされてる…』


あの美しさは、今はかけらもなかった。
ただ無残に転がった残骸だけが、当時のきらびやかさを物語っていた。
そして、その中央に、姫はあり得ないものを見た。
息をのむ。


「大蛇丸…」


城の残骸を遠慮なしに踏みつぶした、巨大な蛇がいた。
その上には、あの大嫌いな人。
大蛇丸がいた。


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