…森の奥深く。
草影に隠れる体制で、私はいた。
目の前は白い着物をまとった男の子がいる。
…男の子というには成長していて、男というには少し無理があった。
微妙な年頃だ。

少年はクナイを取り出した。
的が12個いたるところに置いてある。
こんもりと小さな山の後ろの死角にも3つ的が置いてあった。
地面をひとけりして、飛び上がる。
空中で半回転して、クナイを飛ばしていった。
少年が地面に降りたとき。
クナイは12個とも的のど真ん中を貫いていた。
拍手したい気持ちを抑えて、心の中で大絶賛する。
…というのはお父様に黙って少年についてきたからだ。


「…姫か…」

『!』


茂みの向こうで目があった。
…どうやらばれてしまったようだ。
このまま帰ろうか。
いや、お兄様相手にそれは無理だ。


「そこにいるのはわかっている。
出てこい」

『…』


クナイが飛んでくる。
お兄様がしびれを切らしたみたいだ。
もう、よけて、見つかるしかない。
ひょいとよけた拍子に、茂みから出てしまった。
それはお兄様の計算内だったであろうが、何となく姫は面白くない。


『どうして分かったの?』

「後ろをつけていたんだろう?
ばればれだ」

『!…』

「今日は一体何の用だ?」

『…』

「父上が心配しているんじゃないのか?
それ以前に屋敷から出たらだめだろう。
早く帰れ」

『…今日も家に来てほしいの!』


椿の眉がぴくりと動いた。
不機嫌な証拠だ。


「無理だ」

『どうして?』

「……おまえにはわかるまい。
…帰るぞ。
俺が送ってやる」

『ほんと?
わぁっ!
やったぁー!』


椿は軽々と姫を持ち上げて、きた道を引き返した。
温かい腕の中。
懐かしいにおいが鼻をくすぐる。
そのうちだんだんまぶたが重くなっていって。
いつのまにか、男の子に体を任せていた。

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