「えらい自信だね。
この僕と戦おうだなんて…」
『…綱手様を傷つけてただで帰ろうとしないことよ』
「君なんて一瞬で終わるような気もするけどね…」
『…どうだか』
フン、と鼻をならすカブト。
丸い眼鏡が太陽に反射する。
よゆうしゃくしゃく、といった態度だ。
まぁ、その態度もうなずける。
カカシ、が誰だか知らないが、相当強い。
でなければ大蛇丸様が付き人なんかにするはずがない。
目の前にいたカブトの姿が消えた。
…来る
前…後…右…!
右の方でカブトの輪郭が見えた。
何か術の準備をしている。
右手の仕込針弾を打つ。
しかし案の定たやすくよけられた。
「その程度かい?」
『…』
((うるさいわね…))
目をつぶって、深く息をすう。
これでもくらえ!
『忍法・毒霧!』
「!!!」
口から上がる紫色の煙。
カブトの方に風が流れて、どんどん広がっていく。
((少しでも吸えばおしまい…。
さぁ、生きてられるかな))
一向に薄まらない煙の奥で、一瞬黒い影が動いたのが見えた。
『チッ…。
逃げられたか…
やっぱり、大蛇丸様の付き人だけのことはある』
霧が晴れると、平然と立っているカブトがいた。
「その程度の技じゃ、僕にはきかないよ」
『…そうね。
少しはやるみたい』
「もしかしてこれが君の精一杯かい?」
『まさか…。
………ここからは本気でいくわ』
「!
何も変わらないと思うけどね…」
『どうかしらね!』
いちいちうるさい人!
カブトめがけて一直線に走る。
右手のこぶしを固めてチャクラを集中させる。
「甘い甘い!
真正面から突っ込んでくるなんて!」
『誰が真正面ですって?』
「!」
瞬身で背後に回り、掛け声と同時にこぶしを打ちつける。
何本か骨が折れる音がして、地面をこすりながら、カブトが長い距離を転がる。
『甘いのはあなたの方ね』
「……くそっ……」
悔しそうに身をちぢめて起き上がるカブト。
短く印を組んで、ほのかに光る手のひらを体に当て始めた。
((…やっぱり、医療忍者だ。
さて…どうやって攻めるべきか…。
チャクラ切れを待つ?
それとも…))
「さて…次は僕からいくよ」
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