『大蛇丸様とあったのは、ちょうど一週間前の……自来也様と朝酒で話した、すぐ後のことでした』

「あぁ、それはしっとった。
お前の顔を見れば一目瞭然だったからのぉ」

『短冊城が大蛇によってつぶされていて…その上に大蛇丸様と付き人らしき人がたっておられました』

「付き人?」

『はい、メガネをかけた男です
たぶん、彼も医療忍者です』

「……医療忍者か…」


全速力で走る足を遅めずに、説明するのはなかなか難しかった。
風の唸りと、焦りとで、過去がうまく思い出せない。
自来也が唸る。


「…それで、大蛇丸は何を綱手にもちかけてきたのか?」

『私もよくわかりません。
でも、綱手様が愛した2人を生き返らせると
…自来也様、2人って、誰のことなのですか?』

「!!!
……大蛇丸……新しい禁術を開発したのか……」

『え…?
今、なんておっしゃいました?』

「…!
いや、なんでもない。
とりあえず今は急ごう」


急がなければいけないのはもっともだ。
しかし何となく会話をはぐらかされたようになって姫はあまり面白くなかった。
自来也様は私が知らない何かを知っている。


「とりあえず、覚悟だけはしとけ。
ことによっては綱手を殺さなければならんかもしれん」

「!
…そ…そんなこと言わないでください」


確かに綱手が大蛇丸に手を貸せば、最悪の事態を招きざるえない。
けれど…。
いや、綱手様を殺すなんて…。
そんなの、できない。
一向に見えてこない短冊城。
だいぶ遠いところに宿を借りてしまった。
どこも宿が満室で、しかたなかったと言えばしかたないのだが。
苛立つ。
焦せりを感じ始める。
今はちょうど真ん中あたりだ。
まだ城まで半分もある。


「あまりあせるんじゃない」

『でも!』

「あせってもいいことはないぞ。
冷静にかまえろ。
敵がいつやってくるかわからんからのぉ」

『…そうでした』


髪と袖をなびかす風を感じて、深く深呼吸した。
そう、綱手様は大丈夫。
あんな蛇のニタニタした、あんな男にはのらないんだから。
そうよ、ぼこぼこにして、ぺっちゃんこにしてるわ、きっと。
波打っていた鼓動がひいて、半分だった距離が一気に縮まった。

そして、ほどなくしてほとんど瓦礫と化した、短冊城が見えてきた。
そこで大蛇丸と綱手は交渉を行う予定だった。
そこに綱手がいるとばかり思っていた。
けれど肝心の綱手の姿がない。
大蛇丸も、いない。


『じ、自来也様!
綱手様がいない!』

「…どこに行きやがった…綱手のヤロー」


もしかして、間に合わなかったのか。
それとも綱手が断ったのか。
絶対、断ってるんだ!
そう思っても、裏で違うんじゃない?
笑っている悪魔がいる。
だめ、だめ。
今は綱手様がどこにいるかを考えなくちゃ。

しかし、考える前にそれはわかった。
瓦礫の向こうから強烈な地響きが伝わってきたからだ。
耳をつんざくような音とともに、立っていられないほどの振動が伝わってくる。

『!
…こ…これって…』


…この音……
……この振動……
まぎれもない、


『綱手様!』

「…おっ…おい、姫、まて!」

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