久しぶりに夢を見た。
私がこの財前家に引っ越してきたばかりの夢。
あれから、2年が経った。徐々に今の家にも慣れてきて、ばたばたした高校生活にも慣れてきた2年生の冬。来年からは受験だからまた忙しくなるのだろうけど。
出来れば、アルバイトを高校生のうちにしたかったのだけれど、高校自体が基本的にはしてはいけない校則があった。両親もいない訳だし、金銭面にも不安が残るので、特別な届出を出してしようとしたけれど、財前家のみなさんに止められた。
高校生活なんて一度しか来ない時間なのだから、学生なりに時間をもっと有意義に使いなさいと言われ、しっかりおこづかい制にされた。さすがに、これは申し訳ないので大学生になったら少しずつ返していきたいと思う。

さて、財前家のみなさんとの関係について話をする。いたって仲は順調であり、おじさんとおばさんは女の子が珍しいのか姉と私をまるで自分の娘のように扱ってくれる。むしろ、光と義理の兄より大切にされているように思う。義理の兄はとても私のことを可愛がってくれる。
ふとした時に、私はなんて恵まれているのだろう、と感じることすらある。そう、これが幸せというものなんだろうな。

「なに、たそがれてるん」

『あ、こら光、ノックぐらいしてよ』

「ノックしたけど、返事なかったやん」

ぼーっとしてたのか、あまりにも星空が綺麗で窓の枠にもたれかかって眺めてたから、光がいたことに全く気づかなかったのか。
光との関係はいたってよろしい。むしろ、とても気が合う。まさかこんなに仲良くなるとは思わなかった。
趣味も似ているし、共通点も多い。何よりなんとなくお互いの考えてることがわかる時がある。それぐらい仲が良い。

『星空見てたの。なんかこうこんなに綺麗だと、駆けたくならない?』

「あー、わかる気がする。俺がもし車かバイクの免許持ってたらなんか走りたくなるな」



そう、どこまでも駆けていきたい。私は冷え切っていて星空が綺麗な夜がとても好きだ。光も多分そうなんだろうな。光も反対側の窓枠にもたれかかって、星空を見る。

『さっきね、この家に来た時の夢見てたの』

「ご飯食べてからすぐ寝ると太るで」

『うるさい。でね、あの時中学二年生だったでしょ?懐かしかったなー可愛かったな、光。』

「うるさい」
『あはは』

実は、話す前ははただの馬鹿だと思ってた。だって、天才とか言われちゃってるし、耳にピアス5個も開けちゃってるし。馬鹿なの?馬鹿だよね?とか思ってたのは光には秘密だ。

「ほんまあの頃思い出すと、懐かしいな。3年とかあっという間やなあ」

『そうだよ、高校生活もあっという間だよ』

「来年受験生とかほんまないわー」

ぼんやりとしか考えていないけれど、高校卒業したら、私は一人暮らしをする予定だ。まだ誰にも言ってないけれど。こうやって、光と星を見るのもあと何回だろうね。
高校を卒業して、大学も卒業したら社会人になって…曖昧だけれど、平凡な人生を歩いていくのだろう。
そして、いつかまた思い出したり夢を見たりするんだろうな。

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