花影を食す | ナノ



コンコン、とデイダラの部屋のドアが叩かれた。ドアの向こうから「僕です」と、後輩の声が聞こえたのでデイダラは「入れ」と許可を出した。

「先輩、腕の調子はどうですか?」

ドアを開きながらトビが声をかける。ベッドに横になっていたデイダラが顔だけをトビのほうへ向け「今日は調子がいい、うん」と答えた。

デイダラが両腕を無くしてから数日が過ぎた。その間は新しくコンビとなったトビがデイダラの身の回りの世話をしていた。
デイダラの腕は、片方は一尾を狩りに行った際我愛羅の砂に潰され、もう片方は我愛羅を取り返しにきた小隊のカカシの神威で飛ばされてしまった。腕は回収したものの、再びくっ付けるためにはそれ相応の準備が必要とされ、現在デイダラは両腕の無い不自由な生活を強いられている。
今では穏やかだが、怪我をした直後は酷かった。痛みには強いデイダラでも患部の炎症からくる熱や塞がりきっていない傷口からの刺すような激痛には苦しめられた。トビが包帯を交換しようとして腕に触れれば、その痛みは頂点に達し、デイダラは歯を食いしばってなんとか耐えた。そのせいで唇まで怪我をしてしまったが。

「よかったです先輩。一時は酷かったですもんねー。痛みに耐えられなくて僕のこと蹴飛ばしたりして」
「わ…悪かったよ…うん」
「いえ、ぜーんぜん、気にしてませんから」

そう言うとトビはデイダラの寝ているベッドに腰を下ろし、デイダラの顔にかかってしまっている前髪をどけてやった。

「先輩、なんか元気ないですね?」
「まぁな…両腕がなくちゃ何もできないからな…一日中寝てるしかなくて暇で暇で仕方ねェよ、うん」

デイダラは大きく溜息をついて見せた。腕が無ければ大好きな粘土弄りもできない。外に出ようにもこの無防備な状態では敵に捕まる危険がある、とリーダーから止められている。本来アクティブなタイプのデイダラはこの寝たきりの生活にうんざりしていた。

「トビ、なんか面白いことねーか?」
「…そういえば先輩、最近ご無沙汰なんじゃないですか?」
「は?なにが」

見当がつかないデイダラははてなマークを浮かべる。そんなデイダラを見て、トビは仮面の奥の目を歪めて笑った。

「自慰ですよ。じ、い!」
「じ…ってテメェ何言ってんだ!」

デイダラの頬がみるみる紅潮していくのが面白くて、トビはデイダラの耳元に顔を近づけて続けた。

「あれから何日も経つから、溜まっちゃってるんじゃないですか?」
「だったらどうだってんだ!うん!」
「僕がお手伝いしますよ」

するとトビの手がデイダラの股間へ伸びた。そこを撫でると、デイダラの体が強張る。

「先輩、そんな緊張しなくていいんですよ?ほらリラ〜ックスリラックス」
「ち…くしょ…ッ」

両腕の無いデイダラには抵抗する術がなかった。脚をジタバタさせても押さえつけられてしまう。

トビの言った通り、デイダラはもうしばらく自慰行為をしていなかった。まさか両腕が無くなるとは思ってもいなかったので、直前に抜くことも出来ず、本当のところをいうと溜まっていた。

そしてトビはデイダラのスボンと下着の裾に指をかけ、一緒にゆっくりと引き下ろした。露わになってしまった性器を隠そうとデイダラはぎゅっと脚を閉じるが、トビの指はするりと太ももの間に滑り込んだ。

「く…っ」

トビは手袋をつけたまま、デイダラの性器を握った。その布の感触がデイダラを刺激する。そして指で輪っかをつくり手を上下に動かし始めた。

「んん…っ」
「先輩、気持ちいいですか?」
「うっ、うっせェ…んなワケ…」

わざとらしく質問してくるトビをデイダラは睨みつけた。精一杯怖い顔をしているつもりだったが、トビからしたらまるで可愛らしい子猫の威嚇に思えた。

「もー先輩、そんな顔で睨んでも全然怖くないですよ?むしろ…」

次の瞬間トビは面をずらし、デイダラの耳元で低い声を響かせた。

「余計に情欲を駆り立てられるな」

鼓膜に響く低音にデイダラの体はぶるっと震えた。金縛りにあったかのように動けなくなり、目玉だけを動かしトビを見つめていた。
トビは動かないデイダラの頬に手を添え、半開きだった口に吸い付いた。無防備だったデイダラの口内に簡単に舌を侵入させ、その柔らかい肉の感触を味わう。食らいつくような口付けに、動けず固まっていたデイダラはついて行けず、苦しそうに喘いだ。
しかしトビは片方の手でデイダラの性器を再び触りだした。トビの長い指はそれぞれが別の生き物かのように複雑に蠢きデイダラを刺激する。下半身に血が集まって行くのを感じた。しかしディープキスによる酸欠と下半身の快感のせいで真っ白な頭はもう何も考えられない。されるがまま、トビに体を委ねるしかなかった。
デイダラの口内を丹念に舐め回した後、トビは名残惜しそうに唇を離した。

「先輩、そろそろ出そうですか?こんなに硬くなって…」
「はぁっ、はっ…」
「あ!もしかして僕のキスで感じてくれたんですか!?ね、僕って結構やるもんでしょ?先輩」

いつものトビの調子に戻っていた。
デイダラはやっと解放された口から必死で空気を取り込んだ。ふと目を下へ遣ると、激しく上下する胸の向こうにトビが弄る勃起した性器が見えた。羞恥でデイダラの顔が真っ赤になる。こんな情けない顔は今すぐ隠したかったが、腕が無くてはどうすることもできなかった。苦し紛れに、横を向いて長い前髪で顔を隠そうとした。

「先輩真っ赤になっちゃってかーわいい!その顔、隠さないでもっとよく見せてくださいよー」

デイダラの細やかな抵抗も無駄に終わった。トビに無理矢理正面を向かされ、汗でへばりついた髪はすべてよけられた。

「…ッ、見るな…ぁ…んッ」
「ごめんなさい先輩。僕、先輩がイく時の顔が見たいんです…」

そう言うと、トビはよりいっそうデイダラの性器を弄る指の動きを激しくした。電流を流されたかのような刺激にデイダラは背を仰け反らせた。

「うあぁぁッ!んあっ、あっ、も、やだ…ッ!やめ…」
「イっていいですよ!先輩!」
「はぁっ、あっ、ダメ…だ…んんん!」

デイダラはトビの手の中に射精した。勢いよく飛び出す白濁の液がシーツを汚す。

「わ〜!出ましたね先輩!濃いのをこんなにたくさん!」

トビが黒い手袋を汚した白い精液をデイダラに見せつけた。粘度の高そうなそれはトビの長い指に絡みついている。それをデイダラはぼんやりとした目で見ていた。

「いやー先輩のイく瞬間の顔!最高でしたよ!ほんとに可愛かったです!」

周りに花でも飛んでいそうなほど嬉しそうにトビは語るが、デイダラの気分は最悪だった。

「はぁ…はぁ…トビ…てめ…覚えとけよ…うん…」
「先輩のイき顔をですか?そりゃ忘れずに覚えてますとも!」
「違うっ!!」

できることなら蹴飛ばしてやりたいところだが、気怠くてそうもいかなかった。デイダラは目つきだけは鋭くし、きつくトビを睨みつけた。

「まーまー、そんな怒らないでくださいよ。ちゃんと後始末はしますし…」

ね?と、子どもをなだめるように言いながらトビは飛び散った精液の掃除を始めた。その様子を見ていると、「あっ!」と驚嘆の声を上げ手を止めた。

「おい…早く掃除しろよ…」
「いや…先輩…先輩の下半身も精液まみれですけど…」
「あっ!」

精液はデイダラ自身の下腹部にも飛んでいた。ドロドロとした白濁にまとわり付かれるのは不快以外のなにものでもなかった。しかしデイダラは自分でその不快感を取り除くことができない。

「アララ〜これはお風呂で洗い流さないとですね…」
「なっ」

こんな精液まみれの体を他のメンバーに見せるわけにはいかない。つまり風呂に入れるのはトビしかいない。そのことに気付いてしまったデイダラは嘆いた。

「こんな好き勝手されて、風呂までこいつに入れられなきゃならねーのか!?最悪だ、最悪だァ!うん!」
「だからって他の人に入れてもらうわけにはいかないでしょう?安心してください、変なことはしませんから!」

親指を立ててグッとポーズをとるトビ。デイダラは胡散臭さしか感じなかった。そしてデイダラの不安は的中する。

「汚れたところは念入りに洗ってあげますから!」
「テメェ…また変なとこ触ったらただじゃおかねェからな…!この変態がァ!うん!」



しかしデイダラは、腕が付けられるまで何度かトビに自慰を手伝われた。その度にデイダラは、腕が治ったらどんな風にトビを殺すかを考えていた。








腕が無くて抵抗できなくてされるがままのデイダラちゃん萌え



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -