ここから本気







「イヴに見合いをさせようと思うんだ、ギャリーくん」
「……はあ。 まあ、唐突ですね。またどうして」
「花の盛り、年頃の娘だというのに君のようなオネエに夢中じゃないか」
「夢中って…女友達のような感覚でいるだけだと思いますよ? たしかにすっかり綺麗になったけれど、まだ心がちょっとこどもなだけで、近いうちに恋を知ることになりますよ。…少し、寂しいけれど…」
「このままじゃ婚期を逃す!そして売れ残ってどうにもならない男で妥協するはめになってしまう!それは父親として阻止しなければならない!」
「(無視されたわ)なるほど、この山のような釣書はそのお相手候補たちの資料ですか」
「ああ。あらゆるコネを使って育ちも家柄もいい子息のデータをたっぷりと集めた。一緒に選定してくれギャリーくん」
「かまいませんけどなぜアタシが?お母様やイヴと見たほうがいいのでは」
「妻とイヴにこの話をした三日前から二人が口を利いてくれない」
「……あらぁ……」
「それと、君の目も信用しているからね。長くイヴといるから相性のよさそうな子もわかるだろう。僕や妻では気付けないことに気付くはずだ」
「光栄ですわ」
「これぞという男性を引きあわせれば廊下ですれちがってもスルーということもなくなるに違いない!」
「…まあ、イヴにきちんとした男性を、というのは同意します… 結婚は早いかもしれませんが、お友達としておつきあいすることで視野が広がればいいですわね」
「わかってくれると思っていたよ。では始めよう」

「…あら、お父様。この子どうです? ほら、年も近くてかわいい顔、とっても育ちもよさそう。趣味は絵画、ぴったりだわ」
「うん? …いやだめだな、人が良さそうというか、温室顔というか、イヴはああいう子だからもうすこし骨があるタイプでないと」
「なるほど。あ、こっちはどうかしら、なかなか凛々しいというか。ほらほら、ボクシングもやってるんですって」
「うーん… 何かこう、男っぽすぎるのも違うんだよ。イヴはああいう子だから」
「はあ。ではこちら。すっごい美青年」
「なんだその男女みたいなのは! そんな顔でそんなポーズなんてナルシストもしくはタコ足配線浮気野郎に決まっている!」
「で、ではこちら!ほら!」
「よく見ろ身長169センチだ!高身長は絶対に条件から外さないぞ!絶対にだ!」
「あんたが見合いするわけじゃないんだから!なんなんですか!」


「…なかなか厳しいですねお父様…」
「この山になるまでにもだいぶ選ばせたつもりだが、ろくなのがいないな」
「そ、そうですか…? 目移りしてしまうくらいですけど。さすがに育ちがいいと顔もいいのねえ、どこの俳優オーディションですかって感j」
「これだけいてギャリーくん以上のイケメンが一人もいないなんて」
「」
「ギャリーくんから目を逸らさせるための見合いなんだからそこは越えてくれないと!」
「え… あの… ええと … はい…?」
「まあいい、容姿は写真じゃ全てはわからない。次は趣味や特技から性格をはかっていこう」
「は… はい…」


二時間後。


「……ええとつまりお父様、もういちど結論をまとめていただけるかしら……」
「だからつまり、ギャリーくんより美形でスタイルがよくて、ギャリーくんのようにウィットがあって基本的には女性のように穏やかだがちゃんと男らしいところもあり、ギャリーくんのように経済観念がちゃんとしてて家事もできて特に料理上手で、ギャリーくんよりイヴを大事に思う気持ちが強い男でないと僕は認めない」
「…………ええっと…………」
「(ばたん!とドアが開く)お父さんったらまたわたしに黙ってギャリー呼び出して!
って、ああ! これ、お母さんが焼却処分しろって言ってたやつじゃない、まだ持ってたの!ていうかなんでギャリーに見せてるの! ま… まさかギャリーにこの人達とお見合いさせ…」
「馬鹿を言うなイヴ!ギャリーくんにこの程度のこわっぱどもが釣り合うわけがないだろう! そう、ギャリーくんの結婚相手は…そうだな、まずは男前で、それから」
「……イヴ、今のうちにお出かけしましょうか(背中に手を添えてそっと退出)」


「あの、なんか、お父さんがごめんね、いつも…またなんか変なこといってた?」
「言ってはいたけど… まあ、大丈夫よ。アタシお父様好きよ。家族思いじゃない。だからイヴも仲直りしてあげてね」
「…………でも、お見合いとか、ひどい」
「今すぐ結婚しろって言ってるわけじゃないでしょ。もっと軽い気持ちで会ってみなさいよ。案外いいなって思う人に出会うかもよ」
「…………ひどい」
「心配してるのよ」
「…………いいなって思う人には、もう、出会ってる」
「あら! あらあら、そうなの? ちっとも知らなかったわ、どうして教えてくれなかったの?ねえどこで会ったの?どんな人?」
「かがんで」
「内緒話ね? あら、だっこ? うふふ、もうちっちゃい頃じゃないんだから… ちょ、あの、イヴ? イ、イヴさん、ま、待っ、それは、だ、だめよそれは、なにこの腕力、んぐっ、む、むーーーーーーっ!?」



「お母さん!僕すごくいいこと思いついた!ギャリーくんとイヴをお見合いさせればいいんじゃないかな!?」
「おもしろいこと言うわねえお父さんったら」






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へんなものに好かれやすいギャリー

2012/06/09
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