いけないルージュマジック



「おとうさんとおかあさんがね、「そんなに仲良くしていただいてるなら一度ご挨拶したいからぜひうちにお招きして」って」
「……とうとう来たわね……Xデーだわ」
「うちにくるのいや?」
「いやなわけないでしょ。…ああ、でも、いやかも。
アタシみたいなのがいったら、ご両親はいい顔しないわ。…もう二度と、とは言わないでも、会うのに制限はだいぶかかるでしょうねえ…」
「どうして」
「イヴのお友達として紹介されるには、アタシはいろんなものが違いすぎるのよ。年齢も、性別も、階級もね」
「わたしはギャリーすき」
「ありがとう、アタシもよ。だけど成人男性が小さな女の子といっしょにいると、あんまりよくないって思う人、多いのよ。そういうひとたちは、アタシたちをひきはなそうとするでしょうね」
「…わたしが大人ならよかったね」
「あるいはアタシが女の人だったら… … だったら…」
「…? ぎゃり?」
「……その手があったか」



「いやーイヴがなついているからどんな人物かと思えば、こんなに美しい女性だったとは!」
「ほんとに美人さんねえ、ギャリーさん。とってもスタイルもよくてうらやましいわ、イヴがいつもお世話になっちゃってすみませんー」
「ホホホホホ」
「あらイヴどうしたの?せっかくギャリーさんがおうちにきてくださったのに、ちょっと顔色悪いわよ? それにしてもほんとうにきれいなかた…」
「まあまあ光栄ですわ! あ、こちら、お近づきのしるしに…」
「まあ!これって××堂の新作ルージュ!」
「まだ市場には出回ってませんのよ、友人が開発部につとめておりまして」
「すてき…!これからもイヴともども仲良くしてくださいねギャリーさん!」
「ええもちろん!」
「少し声が低いのがまたハスキーボイスというか、魅力的な人だなあ… あ、いや、僕は妻ひとすじだけれどね、もちろん。でも、あなたは薔薇のような人だ」
「いやですわ…お父様ったら…」
「……ぎゃり…… なんで赤くなってるの……?」



「いけた!いけたわアタシ!ばれてない!」
「……うん……」
「あ、っと、あんまりおっきい声出すとご両親に聞こえちゃうわね。イヴの部屋おっきいし壁も厚そうだけど気をつけないと」
「……うん……」
「あらどうしたのイヴ?元気ないわねえ」
「…うそは、よくない…   から?」
「なんで疑問系? だいじょうぶよイヴ。自分から「アタシ女です」とは一度も言ってないわ。うそなんてついてないわ」
「…ギャリーは… わたしのために、そのかっこ、してくれたんだよね…?」
「もちろんよ。見たでしょ?ご両親、すっかり安心して打ち解けてくれたわ!会うのに制限がかかるどころか家族でのお出かけにもつれてってくれるって!」
「……でも、そのかっこ、やだ」
「え…… けっこううまく化けたつもりだったんだけど…
化粧も体型カバーの服選びも、かなり自信あったんだけど… 気持ち悪い?」
「ううん… ギャリーはとってもきれい。きれいなおねえさんだよ」
「ま、ありがとう」
「だけど、ギャリーがおねえさんなのは、やだ」
「…いや?」
「……いや(ぎゅっ)」
「……楽しかったんだけどねえ。アタシ女装って実ははじめてだったのよね。
アタシの見た目なんて、きれいにしたってなんにも意味ないと思ってたから。
でも、化粧もきれいなお洋服選ぶのもとっても楽しかったわ。鏡を見て楽しくなったのなんてはじめてかも」
「…ギャリー」
「まあ、あんたがいやなら、仕方な…」
「い、いやじゃない! ギャリーが楽しいのは、わたしもうれしいから!きれいだよ!だからだいじょうぶだよ!」
「イヴ…! ありがとう!(ぎゅうっ)」
「わ、わ、わ、は、恥ずかし…」
「アタシ、がんばるわ!」
「う、うん?」
「もっともっときれいになる!」
「!?」
「…はあ、それにしてもイヴのお父様ってイケメンよね…このかっこのせいかしら、…なんだか、心もちょっと女性に近づいてるような…」
「!?!? や、やっぱりだめ!女の人のかっこだめ!!すぐやめて!ぬいで!」
「ふふ…これが恋、ってやつかしら…すてきな笑顔だった…」
「ギャリー! 聞こえてないの!?ギャリー!」
「でもいけないわ、あの人には妻子が…そして身分が…!」
「…! もう、これしか…! (右手を降りかぶる)」





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この設定でながいの書くつもりでしたが収集つかない予感しかしなかった

2012/06/03
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