オムニバス

※時間軸入り乱れ西東





◇2/パンダさん(Lサイズ)

「ウエスター、それ、目障りだわ。片付けて」
「それ?」
「あんたが抱え込んでる、その、経費でおとしたパンダぬいぐるみ(Lサイズ)よ。メビウス様から預かっている資金を何だと思っているの」
「だってだっこしてると落ち着くんだもん。もふもふすべすべだし。精神衛生を守ってんだから、福利厚生費の適用範囲だ、メビウス様はわかってくださるはずだ」
「馬ッ鹿じゃないの。そうやってパンダをなでてるのを見ると虫酸が走るのよ、今すぐ片付けて真面目に仕事しなさい、でないとわたしが燃やすわ」
「燃やす!? そこまでしなくてもいいじゃ」
「むかつくのよ!あんたがね、膝の上にのせたパンダを指先やてのひらで撫でてるのを見るのが、いやなの!わたしの見えないところにいって!いかないならそいつを片付けて!」
「あー、ああもうわかったよ、部屋に戻る。 お前ほんとにぬいぐるみ嫌いだよなー。カワイイのになあ」



◇4/テディベア、水族館系、サファリ系、ファンシー系、その他その他

「…ここは、楽園だわ!」
「せつな、テンション高い、おこさんたちもいるけどもうちょっと静かにしような」
「すてき…フロアじゅうにぬいぐるみ…なんでこんなにそわそわするのかしら。おもちゃ屋さんだとぬいぐるみって一角にしか無いものね!」
「あ、ああうん」
「すっごい! みて、あんなにクマがたくさん! それに天井から下がってるヘビ、あれも売り物なの? トラにカエル、ライオン、アルパカ、ネコ、イヌ、ウミガメやイルカは見たことあったけど、ミズダコなんて需要あるのかしら?でもかわいいわ!美希にも見せてあげたい!」
「いやそれはやめといたほうが」
「わー、わー、すごい! あのね、連れてきてくれてありがとう隼人、えっと…すき」
「ぬいぐるみが?」
「バカね。ああ、でも、どれを買ってもらおうかしら…こんなにたくさんいるなんて思わなかった、ウサギにするつもりだったけど、アノマロカリスとかウツボとかマグロとか、こういうのもかわいいわねえ」
「かわいいか…?」



◇1/しろいねこさん、ピンクのうさたん、はいいろのねずみさん、その他(プライズ)

「なんだこれは。FUKOの種を探しに行ってたんじゃなかったのか貴様」
「そのつもりだったんだけどよ… おまえ知ってる?クレーンゲーム」
「知らん」
「なんか水槽みたいなとこにぬいぐるみぎっしりつまってて、それを一回100円とかでつかみあげてくんだが」
「ヌイグルミ。これは一体なんだ」
「動物の模型の一種だそうだ。 なんかやたらにとれたんだよなー。これはネコだろ、ウサギだろ、イヌ、ネズミ、それに… イース、これやるよ。白いねこさん」
「……これは何に使うものだ」
「撫でるものらしい」
「なでてどうする」
「知らね。でもふかふかするだろ? あとほら、こいつイースに似てる」
「…色以外の共通点が見いだせないぞ、たしかにふかふかはするが」
「まあ、なんかの役に立つかもしれんだろ。もらっといてくれ。俺も研究してみっから」
「……その」
「?」
「その、ピンクの、それは」
「ああ、うさたん?」
「(うさたん?)それは、どうするのだ」
「うーん。どうっていわれても… あ、このネズミ、サウラーに似てね? これはあいつにやろう」
「その、う、うさたんをどうするのかと尋いている」
「…? あ。もしかしてイース、こっちがいいのか?」
「!!!!!!! ち、ちがう! そんなわけがないだろう! そんな、そんな…ピンクで、手足がちいさくて、耳がくたっと長いものなんか、気になるわけがないだろう!! 不愉快だ!処分しろ!(白い猫を投げつけて走り去る)」
「…… うーん… やっぱイースは、こんなん興味ねえか…まあそうだろうなー。明日、街に出たときにでも全部情報収集がてらに配っちまうか」



◇5/ピンクのうさたん

「で、あれだけ言ってたのに結局ふつうのウサギ選んでんじゃねえか」
「いろんな選択肢を吟味した結果よ、最初から排斥してかかったわけじゃないわ。ありがと隼人、大事にするわ。ピンクのうさたん」
「うさたん?」
「ええ。…ふふ、ぬいぐるみって、かわいいわねー。うん、かわいい」
「……せつな、気に入ってくれたのはいいんだが、あんまりそいつばっかりかまうなよ」
「どうかしら。あなたしだいね(うさぎの前足を指先でつまんで、うさぎとおなじ角度で首をかしげる」



◇3/東せつな

「そういえば、あのおおきなパンダ、どうしたの?館にいた頃、いつもだっこしてたやつ」
「クロゼットの奥にしまってあるぞ」
「え、かわいそう!なんでそんなこと」
「お前が嫌ってたんじゃねえか、ぬいぐるみ全般」
「……そうだったかしら?」
「そうだったんだよ。なんだほんとにあの頃のことあんまり覚えてねーの?」
「なにがあったのかは覚えてるんだけど、何を考えてたのかはあんまり覚えてないのよ」
「ふーん。 まあ、あのころはパンダだったけど、今はこうしてせつなのこと抱っこできてるし、あんまり思い出さなかったな」
「そう… …あのね隼人、わたしも、ぬいぐるみ、欲しい…かも」
「へ?」
「だ、だって、持ったことないし…今もこうしてぎゅってしてるのクッションだし、その、一回くらいはそういうものを所有してみてもいいんじゃないかなって」
「……じゃ、買いに行くか? 一度行きたかったとこがある。フロアが全部おもちゃ屋になってるビルで、3Fがぬいぐるみフロアなんだと」
「ほんと? 行きたい!」
「どんなのが欲しいんだ?」
「そうね。 テディベアとか、ネコとか、イヌとか、たくさんあるんでしょうけど…
やっぱり、ピンクのうさぎ、かしら? ずっと欲しかったの、きっと。たぶん」







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ぬいぐるみはいいものだ


2010/02/24


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