第三回

※最終話後、ラビリンス本部の会議室にて





「第三回、幹部定例会を始めるよ。今回は『ラビリンスの外貨獲得手段について』だよ」
「特産品がないものねえ、うち。よそとやりとりしやすいちょうどいいバランスの部品を生産できる工場もないし、ナマモノはことごとくよその世界では好かれないようなものばかりだし。カロリーメイトの百倍まずい固形栄養食とか、食用クロレラとか」
「観光地としても四角いばっかりだしなあ…美男美女が多いからホストクラブやキャバクラやるってのはどうだ?俺けっこううまくやれる気がする」
「僕はいやだよそんな歌舞伎町みたいな故郷。美希を呼べないじゃないか。そもそも人間型としては美形揃いだけれど、人間型ではない世界も多数あるしね」
「わたしもいや。ウエスターが他の女ちやほやするくらいならラビリンスぶっこわしたほうがマシよ」
「すまんイース…! 愛してる!(ぎゅー)」
「当たり前でしょ。 ところで参考資料をもってきたのだけど、スウィーツ王国が外貨獲得に用いているプロジェクトの企画書と実物の一部よ(胸元から紙の書類束をとりだし、ファイルをとりだし、フォルダをとりだし、箱、ロッド、人形、カード、その他その他をどんどんだしてくる。胸元からひきだしたものは結果的に会議室の机の上いっぱいにひろがる)」
「え、イースお前胸元どうなってんの」
「…手をつっこまないで、そしてまさぐらないで」
「おかしなところに四次元収納器を格納してるね、きみは。ところでこれ、なんだい?…プリキュアの絵本、プリキュアの人形、カード、これはベリーソードの模造刀?か…?なんなんだい、この膨大な、プリキュアを摸した玩具類は」
「スウィーツ王国がディレクションした「フレッシュプリキュア!玩具シリーズ」よ」
「フレッシュプリキュア!? なんだそのユニット名のようなものは、初耳だぞ、たしかにおまえらフレッシュって名乗りだったし、必殺技のときにもそんなこといってたきもするけど」
「わたしたちは「フレッシュプリキュア」だったのよ」
「…意味がわからんのだが」
「先代は「yes!プリキュア5」だそうよ」
「もうちょっとわかりやすく言ってくれないかい、イース」
「つまりね、スウィーツ王国をはじめとした妖精世界は連盟を組んでいるの。毎年持ち回りで「プリキュア」のプロデュースに取り組んでいるのよ。去年はスウィーツ王国担当の年。フレッシュプリキュアはプリキュアプロジェクトの6年目、代にして4代目だったというわけ」
「…交代でプリキュアを作ってるってことか?」
「そうよ」
「なんのために」
「キャラクタービジネスよ」
「キャラクタービジネス!?」
「まあつまりは、むりやり期間限定のアイドル作って関連グッズつくりまくって売りまくるってことね。女児向けとして現在もっとも成功しているのがプリキュアシリーズというわけ。ちなみにフレッシュプリキュアはプリキュアシリーズにおいて歴代二位の売上よ」
「イース、こういった玩具はいったいどうやって作られて、どこで売られているんだい?僕もいろいろなパラレルワールドを散策しているが、ついぞ見たことがないんだが」
「ラビリンスの科学力が及ばないパラレルワールドがあるそうよ。妖精連合はそこの玩具企業と組んでプリキュアグッズやDVDを売っているらしいわ」
「…おそろしいやつらだな、妖精ってのは」
「あ、キュアパッション人形じゃん! かわいい!もふもふ!これもらっていい?イース」
「わたしがもふもふさせてあげるからだめ」
「しかしすごい数だな… ところでイース、玩具の大半は女児むけっぽいけど、このプリキュアのプリントがされたTシャツ、これはどう見ても成人男性むけサイズのような…」
「…いろいろあるのよ」
「そ、そうか。 うわ、なんだこの邪教の仮面は!? まさかこれをキュアベリーだと言うつもりか!?玩具会社はなにかベリーに恨みでもあるのか!?」
「いろいろ…あるのよ…」
「すっげーなこのシフォンぬいぐるみ。本物そっくりじゃん。え、なにこれこのカード!どりーむだんす…? せつなじゃん!かわいい!ドレスだ!浴衣も!こっちは水着!?いつのまにこんなカッコの写真撮影してたんだよ!俺も呼べよ!」
「できるわけないでしょあのときは敵同士だったんだから。…協力してたのよ、プリキュアの力のレンタル料として。グッズ用の写真撮影に。まあ、ちょっとは楽しかったけど」
「有償だったのか…プリキュアの力は…妖精とは恐ろしいな、勝てるわけがない相手だったというわけか…」
「キャラクタービジネスって、儲かるのか?」
「そうねえ…プリキュアよりも完成度の高い、特撮ヒーローで例えましょうか。

たとえば開始は2月よ。これは新学期に間に合わせるため、そしてクリスマスやお年玉の記憶が親と言う名のサンタから薄れる頃であり、4月始まりでは文具その他の購入が間に合わないから。そして新作メカおよびキャラクターは5月に出るのよ。これはゴールデンウィークの散財をあてこんでいるのね。つぎに8月のお盆シーズンにパワーアップをむかえ、12月にはもちろんクリスマス、そして「この超合金ロボを購入すればいままで出たロボ全部で合体ロボが作れるよ!」という一万円レベルのトドメアイテムリリース。1月に在庫一掃セールを行い、また2月に新しいヒーローが登場する…これが30年の歴史を持ち、もっとも完成されたサイクルを持つ特撮ヒーローの一年というわけ。

わかった?」
「よくわかんねーけどアリ地獄が実在してるってことはわかった」
「上出来よ。うまく軌道に乗れば年間を通して一定の収益をあげられるビジネスモデルってこと」
「イース、キャラクタービジネスとは安定した収入源になるのかい?」
「微妙なところね。ブランド名の定着は数年かかるし、年をまたいで在庫をかかえることもできないし、一度失敗すればそのまま破滅。ハイリスクハイリターンよ」
「なるほど。柱とするにはいささか不安だ。すまないが他の手段を考えよう」
「ええ、そのつもりだったわ」
「モデルケースとして用意したのかい?これらは」
「いえ、せっかくだから見てほしかっただけ。いろいろ作ったし。よくできてるでしょ、このS.H.フィギュアーツ・イース。あとこの塗り絵のあなたたち、おかしくて。それからね…」









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プリキュアグッズってほんとにたくさんありますね…あとなんでこのシリーズのイースはクーデレなんだろうか


2010/02/25


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