暖かくて優しい



『うわぁぁあん、わぁぁあんっ』




日の落ちた見慣れた公園
私は一人声を上げて泣いている




「おい、藍那」


『ぅっ、ひっく…』


「一人で泣くんじゃねぇ。」


『し、兄ちゃ…?』


「来い。泣く時は俺の側で泣け」




ぶっきらぼうな言い方だけど
誰よりも私の辛さや痛さを分かってくれて
いつも側に居てくれた



――…晋兄ちゃん、




















『――…ん、んんー?』




ぼんやりと目を覚ませば真っ白い部屋
…保健室?
視線を横にずらせばそこには晋兄ちゃんが居た




『(―…そいやさっき、なんか夢見て…どんな夢だったかな)』




晋兄ちゃんを見ながら夢を思い出そうとした
するとそんな視線に気づいたのか、晋兄ちゃんは私を見た




高「気づいたか」


『…ん、』




ぶっきらぼうだけど優しく私の額に手を当てた
ひんやりしていてとても気持ちがいい
無意識の内にちょっと微笑めば晋兄ちゃんが口を開いた




高「お前昼休みん時、サッカーボール当たったんだぞ」


『…え、うそ?』


高「…ハァおぼえて無いとは思ったが…」




そうため息をついて私の額をペチンと叩いた
私が額を抑えて晋兄ちゃんを見たら視線が合った




高「痛くないか?」


『…うん、大丈夫。』


高「…ったく、心配かけんな」


『…はーい』




へらりと笑えば晋兄ちゃんは不意に顔をしかめた




高「…お前は昔から一人でなんでもしようとするから…たまには頼れ」


『…?晋兄ちゃん?』


高「銀時よりも先に、な」




ぐしゃぐしゃと私の頭を撫でて立ち上がった晋兄ちゃん
あ、行っちゃうのか…と晋兄ちゃんの背中を見ていた




高「そろそろ銀時来るだろうよ。…今晩、食いに行っから」


『…あ、うんっ』




そして保健室を後にした晋兄ちゃん
なんとなく、なんとなくだけど私は夢を思い出した気がする







暖かくて優しい

銀兄ちゃんよりも
なんだか昔から晋兄ちゃんに甘えてた気がする。
…今も同じか。



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