どうしたものか、



『それじゃ、お先でーす』




バイト先。
今日は皆よりひと足早くあがる
皆がお疲れー、と言ったのを聞き外へ出た




『うっわ、真っ暗。当たり前だけど』




時刻はそろそろ10時15分を回る頃
流石に真っ暗である
しかも
帰り道は電灯が少ない




『………こっわ。』




私は恐る恐る、帰宅路に足を進めた
すると後ろから突然プップー、とクラクションが鳴った

…心臓が一時停止しそうだった




「藍那ちゃん、」


『え、四谷先輩…?』




振り返れば窓から顔を出すバイト先の先輩
大学生なのだが、先輩呼びをしている




『どうかしました?』




とことこ、と車に近づけば
四谷先輩はちょっと頬をかいた




「いや、藍那ちゃん帰ろうとしてたから、送ってこうかなと。この暗さだし」


『へ、』




私に乗った乗った、と言う四谷先輩
でも、と言えば女の子が夜道は危ないよ、と言われ
私はしぶしぶ車に乗った






――――――
――――
――







『…なんかごめんなさい』


「いやいや、俺のおせっかいだから。気にしないで」




四谷先輩が前を向きながら苦笑いする
なんとなく、夜が似合うなあ、と思った




「…ん?なんかついてる?」


『あ、いえ!!運転慣れてるなあって…』




咄嗟に言えばそう?と笑う先輩
そういや、先輩とこんなに話すなんて初めてだな




「そういや、藍那ちゃんは、一人暮らし?」


『あ、いえ…今は兄と二人です』


「へぇ、お兄さん?何歳?」


『今高2で私の一個上なんですよ』




そっくりで、と苦笑いすれば四谷先輩はいいことじゃん、と笑った




「俺にもね、2人の姉貴が居てさ…毎度毎度年下の俺はパシりですよ」


『そうなんですか?…あ、でも想像できるかも』




そんな他愛もない話しをしていたらあっと言う間に家へついた




『なんか、ありがとうございました』


「いやいや。また遅くなる日は送るよ」


『わ、ありがとうございます!!』




四谷先輩はクラクションを一回鳴らすと走り去っていった
…なんだか、銀兄みたいな人だったなあ
なんて考えながら立ち尽くしていたら





「こんな時間に何してんだ」






と抱きしめられた




『っぎゃああ?!!!し、晋兄ちゃん?!!』


高「よォ。今の、彼氏かァ?」


『は?!ちがどこ触ってんの?!!///




後ろから抱き着く晋兄ちゃんがさわさわと服の中に侵入してくる
ぎゃああ!///と騒げば
ガチャ、とドアが開いた




銀「てめぇら人ん家の前でうるせーって高杉ィィィイ!!何してんだお前ェェエ!!!


高「スキンシップ」


「『過激なスキンシップだなオイ!!!』」




銀兄ちゃんと突っ込めば晋兄ちゃんは銀兄ちゃんに何か渡してバイトへ向かった
私もバイバーイ、と手を振っていたら
またギュッと抱きしめられた




銀「遅い」


『だって今日混んでたんだもん』




銀兄を見上げたら銀兄はハァ、とため息をついた




銀「今度遅くなるときは迎え行く」


『え、それは』


銀「絶対行く。決定」




銀兄ちゃんはぐしゃりと私の頭を撫でたらふわりと笑った





銀「メシ食うぞ」


『…了解!!☆』








どうしたものか、

先輩に送ってもらうのも嬉しいけど
銀兄ちゃんが来てくれるって思うと
もっと嬉しいや。
アレ、私ブラコン?






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