酔い潰れ






「悪いとは思ってるんだぜ」
「だあって〜、五ェ門たら付き合い悪いからさあ!ちょーっと飲ませちゃったりなんかしちゃったり」
「とりあえず黙れ」

ぎろりと睨みつけるとほろ酔い状態の二人は顔を見合わせ、怖い怖いと笑いながら部屋へと戻っていった。残されたのは、酔い潰れて倒れている五ェ門と私。
三人で飲んでくる、とは聞いていたけど、五ェ門だけこんなことになるなんて。さっきの口ぶりからしてルパンが無理矢理飲ませたんだろう。五ェ門が自分からこんなになるまで飲むとは思えない。
俯せになっている彼の側へしゃがみ込み、頭をぱんぱん叩いた。

「五ェ門、五ェ門、起きてよ」

さすがに私一人で部屋までは運べない。変に静かだしルパンや次元はもう寝てしまったのだろう。こうなると自分で歩いてもらわなくてはいけない。
何度か叩くと、ぴくりと体を震わせた。五ェ門?もう一度呼び掛けると、のっそりと、そりゃあもうゆっくりと、体を起こした。

「小雪…か…」
「こんなとこで寝ないでね。ほら、ベッド行こうか」
「…かたじけない…」

立ち上がろうとする体はふらふらで、腕を回して支えてやる。真っ赤な顔して謝る彼がちょっと可愛くて、悪戯心がむくむくと沸き上がった。酔ってるんだしいいかな。

「五ェ門」
「何…っ!?」

呼び掛けてこっちを向いた隙に、首に腕を回す。力を込めると元々ふらついていた彼の体は簡単に倒れてきた。そのまま廊下に二人してばたん。五ェ門に押し倒された様な体制で、そのまま軽くキスしてやった。固まる彼。笑顔の私。

「わーい」
「…」
「わーい、五ェ門?」

悪戯が成功した、くらいに思ってる私が彼の顔を覗き込むと、一人じゃ歩けなかった筈の彼が急にすくっと立ち上がった。困惑して倒れた私を軽々と抱え上げて、歩き出した。向かうのは恐らく、寝室。
五ェ門?もう一度呼び掛けると、ざまあみろと言わんばかりの笑みを浮かべた彼が私を見た。

「お主が悪い」

ポーンとでも効果音がつきそうな動作で私はベッドへ投げられる。スプリングがぎしりと軋む。じりじりとにじり寄ってくる彼はいつもの様子じゃない。酔っている。酔っているのだ。
逃げようにもドアは彼の背後。顔が引き攣った。

「あ、ちょ、ちょっと待って五ェ門、せめてシャワー、シャワーくらい…アッー!」



酔い潰れ






20100831




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