「う、あっ…ん、んっ」 弛緩していた白石の体がまた強張る。 縋るように千歳の髪を震える指で掴む。ぎゅうと強く瞑った瞳の裏にはちらちらと星が飛ぶ。 千歳の舌が動くたびに快感で白石の体はがくがくと震えた。 先ほどまで嫌だのアホだの変態だの散々言っていた人物の姿だとは思えないなあと千歳は思う。 立ちあがった突起を軽く噛んでやると、まるで発情期の猫のように甘く喉を鳴らして啼いた。 「ひっ、ああ…っや、あ」 小さな痛みは本能を揺さぶる快感に変わる。 何度も何度も小刻みに与えられる快感に体が震える。その震えが全身に伝わって、下腹部の方に特に熱が集まってくるのが分かった。 それを隠すように白石は太ももをすり合わせる。 「はあ…やらし…」 顔を上げて改めて白石の体を見下ろす。 散々嬲ってやった乳首は唾液に濡れてらてらと光る。 中途半端に乱れた下着。小刻みに震える肢体。 こういう状態にしたのが自分なのだと考えると、とてつもない征服欲も感じた。 あのみんなの優等生の白石を、こうして乱せるのは自分だけ。 千歳は大きく熱い息を吐いた。 「くら…」 白石の足の間に自分の足を割り込ませる。 咄嗟に閉じようとするけれど、それはさせてやらない。片手で太ももを掴み無理やり広げさせた。 そして膝でゆっくりと股間を押し上げてやる。 敏感な部分に微妙な刺激を与えられて、白石の体が快感に悶えるように震えた。 「っ、あっ、あ…っ」 「愛らしか…」 膝を離し指で下着越しに割れ目をつつ、となぞってみる。 既にじっとりと濡れていたそこは、下着に薄く染みを作りくっきりとラインを写し出した。 千歳の指がそこに触れるたびにびくびくと白石の体が跳ねる。 特に敏感な部分を強く擦ってやると更に大きく反応した。 なんて快感に従順な体なんだろう。まあそうしたのは自分なのだけど。 千歳は笑みを浮かべる。 「気持ちよさそうやね…もっと触ってほしか?」 「っ…う、あほ…ぉ」 それでもなお悪態を吐く唇を一度唇で黙らせてやって、足から下着を抜き去ってしまう。 かろうじて首近くにひっかかっていたブラジャーも剥ぎ取り向こうに投げてやると、白石の細くしなやかな体が露になった。 白石はやはり綺麗だと思う。いやらしい、だけじゃなくて、美しい。言い過ぎかもしれないけれど、まるで美術館に飾られる石膏の芸術品のようだと千歳は思う。 「、変態…、っ」 せめて顔だけでも、と思ってかそれとも反射的なものか、白石は腕で顔を覆うけれどそれも許してやらない。 細い腕を掴んで顔から引き剥がす。赤く熟れた顔と潤んだ瞳が千歳の眼前に晒される。 いやらしい顔。引き寄せられるようにキスをする。 宥めるように顔中にキスを落として、とろとろと濡れるそこにそっと指を這わせた。 豊かに蜜を湛えたそこは、難なく千歳の指を中へと招き入れる。 「あ、っあ、ん…はぁ」 「こんなに濡らしてやらしかねえ…慣らさんでも入りそうばい」 「は、はあ、や、…」 すぐに指を増やしてやって、奥をぐりぐりと抉ってやる。 白石の中は熱くてぬるぬるしていて、ああ早くこの中に自分の欲を収めてしまいたい、と千歳の欲望を加速させる。 己の欲望よもう少しだけ待ってくれ、と自制をかけてもう一本指を潤う白石のそこに宛がう。 深い抽挿を繰り返しながら、親指で最も敏感な部分を軽く押してやると白石の体は大きく跳ね、湿った嬌声をあげた。 「っああ…あ、あっ、や、ちとせ…っ」 白石の声は泣きそうだ。 快感でもうどうしようもなくなって、我慢の出来なくなってしまった声、そして表情。 潤んだ瞳は千歳からのもっと強い快感を求める証拠だ。 そして千歳の我慢も限界に来ていた。 「は、も…入れてもよかね…?」 掠れた声。欲情しきった目。 焦るようにカチャカチャとズボンを脱ぐ姿。 不覚にも白石はぞくり、と興奮を覚えてしまう。 そんな自分が悔しくて、白石はついまた反発してしまうのだ 。 「お前、のでかいから、っ、明日に響くのに…」 「褒めてもらえて嬉かよ」 褒めてない、と言おうとした白石の唇を塞いで、いきり立ったものを白石の入り口に押し当てた。 薄いゴムに包まれた熱いものが擦れる感触に、白石は肌を粟だたせた。 顔を上げると唇を捕らえられる。熱い舌。 舌をぬるぬると絡めながら千歳はゆっくりと腰を進めてくる。反射的に逃れようとする腰を掴まれる。ああ逃げられない。 狭い入り口を押し広げて千歳が中に入ってくる。 「あ、やあっ、は、あああっ」 「は、蔵っ…」 * 「はー気持ちよか」 汗ばんだ肌に髪がくっつくのが気持ち悪いと白石は思う。 そもそも終わったあとはどこもかしこも湿っている気がして早く風呂にでも入りたいというのに千歳は離してくれない。 ぎゅうと胸に顔を埋めるようにしてうとうとしている。 「胸にくっつくなや、変態」 千歳の黒い髪をぐしゃぐしゃにしながら必死に押し返す。が、やはりびくともしない。 このでかい体に抱きつかれては引き剥がすことも出来ない。 だからこんなでかい図体なんて嫌いなんだ。みんなどうしてこれが羨ましいのか。 またイラっとしてしまい、千歳の髪の数束をぐいと引っ張る。 「いた、いたい、くら」 「変態、へんたいへんたい」 「ひどかー」 ここからは千歳の頭しか見えないけれど、きっとにやにやとしたむかつく顔をしているのだろうと思う。 こいつの余裕のなさが嫌いだ、もっと余裕をなくさせてやりたいのに。 そう思ってみても体格差は埋められない。物理的に従わせるのは絶対に無理だ。 しかし白石は諦めない。 物理的に無理なら精神的にだ。 いつか絶対千歳のことを尻に敷いて手玉にとってみせる。 そんなことを思いながら、腕の中にある千歳の髪の毛をぐしゃりと掴んだ。 |