嬶天下にはまだ遠い 身長が高いカレシ、というのは女の子にとって羨ましがられる要素の一つであると思う。 いわゆる高スペックカレシの一つの条件というやつか。 しかしそんなに良いものでもないと白石は思う。 まず高身長が良いと言ったってほどがある。千歳はでかすぎるのだ。 自分より軽く30センチ近くは高い。正直話すのすら首が痛くなって苦痛だ。 そして何より気に入らないのは、抱きしめられるとすっぽりと彼の体に収まってしまって全く身動きがとれなくなってしまうことだった。 多分そんなのを他の友達に話したところで、のろけか自慢かと言われるのだろうが、白石にとってはかなり気に入らなかった。 これのせいで千歳の好きにされ放題なのだ。 * 「千歳…重いわ」 今も、こうして千歳に後ろからのしかかられるように抱きしめられて身動きをとることが出来ない。 別に千歳に抱きつかれたり、キスされたりすることは嫌いではない。というか千歳のことが好きなのだからそれは好きだ。 でも、と思う。 やりたい放題されるのは白石の性に合わない。 抵抗したりして困らせてやりたいと思うのだけれど、この体格差ではそれが出来ないのだ。全く。 「んーくら、好いとーよ」 「あーはいはい」 でかい男が執拗に甘えてくるこの光景は傍から見たら滑稽なのだろうなあと思う。 千歳の言葉を適当に流して、肘で思い切り千歳の胸辺りを押してみる。が予想通りびくともしなかった。 それどころかそのままひょいと抱きかかえられて、ベッドへと運ばれてしまう。 あ、やばいと思い体を起こそうとするけれど、逃げる間もなく後ろから抱きしめられた。 「はーやわらかか…」 「もー…お前なあ…」 すりすりとつむじの辺りに頬ずりされる。まるででかい犬だ。 しかし犬はこんなに手癖は悪くない。撫でるように腹のあたりを這う手を軽くはたきながら思う。 そして。 無意識だろうか、それともわざとなのだろうか。いやこの男ならきっと後者だろう。 抱きしめられた背中側、お尻のところに固いものがあたっている。 体の位置的にそれはおそらく。 「…変態」 「蔵とこんな風にしてこうならん男を逆に見てみたかね」 言ってやるとそれを照れてみたり隠そうとするどころか更にぐいぐいと押し付けてきた。 ああやっぱりわざとだったのか。こいつはこういう男だ。 このまま為すがままになるのはやはり気に入らなくて腰に回された手をほどこうと掴んでもがいてみる。 しかし白石の力では千歳に敵うはずも無い。びくともしない。 そしてその僅かな抵抗は千歳の理性を刺激してしまったようで、引き剥がすどころかその手はどんどんと上へと向かってくる。 「っちょ…、ちとせ…」 「なに?」 「明日、学校、今日は駄目」 片言できっぱりと拒否するも千歳は動じない。 そのまま手を滑らせて、決して大きいとは言えないその胸の膨らみを緩やかに撫でた。小さく白石の体が震える。 形を確かめるようにゆっくりと、何度も手を往復させ弱い快感を何度も与えると、千歳の腕を拒もうとする白石の手の力が強くなった。 「だ、めやって…」 必死で押し返そうとする。が、やはりびくともしない。 そうこうしているうちに、千歳の手は再び下へと戻り、今度は制服のスカートを捲り上げながら上へと上ってくる。 直接肌に触れるその感覚に嫌でも体が反応してしまう。 「俺は、したか」 「ふ、ざけ、…あ、っ」 ついに千歳の手が白石のブラジャーの中に侵入してきた。 胸の敏感な突起をつつかれて思わず声が漏れる。 悪態を吐きながらも、そこはぴんと立っているのがまた可愛らしいと千歳は思う。 円を描くようにその敏感な部分を擦ってやれば、またぴくりぴくりと白石の体が震えた。 「は…この、あほっ…殺すで」 「せっかく可愛か声と顔持っとうのに、そんなこつ言ったら台無しばい」 言って細い首筋へと唇を寄せた。 普段は髪の毛で隠れているところを強く吸って赤く痕を残してやる。もろに見えるところに付けてしまうと後で白石に殴られるからだ。 丁寧にうなじ、耳、と舐め上げながら、乳首も刺激し続ける。 柔らかいそこを揉みながら、先端をこりこりと愛撫してやると、どんどん白石の声は甘いものへと変わっていった。 「あ、んん…、っは、あ…」 「ん…むぞらしか、さっきの怖いセリフよりそっちのが合っとうよ」 「っ、う…、あっ」 なんだかんだで白石は快感に弱い。 口でどうのこうの言って納得させるよりも、まずは体に訴えかけたほうが白石にはいいのだ。 現に、この胸だけの愛撫で白石の体はすっかり快楽に蕩けてしまっている。 くたりと弛緩した体をゆっくりと仰向けにし、その上に圧しかかってやると、力の篭らない瞳で睨まれた。 「も…あほ…変態…」 はあはあと荒い息を吐きながらそんなことを言ったって、千歳の嗜虐心を煽るだけだ。 「素直やなかねえ」 言って先ほどの行為でよれよれにしてしまった制服に手を掛ける。 体をなぞりながらじわりじわりと脱がしていく。少しずつ晒される太ももや腹を嘗め回すように眺めながら。 白石は抵抗を諦めてしまったらしく、ぼんやりとした目で千歳を見つめていた。 抵抗があったほうが燃えるのに、と思う自分はSなのだろうかと千歳は思う。 制服のワンピースを頭から抜き取ってやると、薄いピンクの下着が露になった。 あえてまだ全ては脱がさないまま。その可愛らしいブラジャーをそっと上にずらす。 先ほどの愛撫でぴんと立ってしまった乳首が現れる。明るいブラウンの健康的なそこ。 まるで千歳のことを誘うかのようにひくひくと震える。 ああ早く食べてしまいたい。 その欲望を数秒も抑えることはなく、千歳はその突起を口に含んだ。白石の耳に届くようにわざとちゅぱ、と唾液の音をたてて。 柔らかい膨らみを揉みながら、まるで甘いキャンディを舐めるように丁寧に何度も舌を絡めた。 >> |