閉じた楽園



ハイ出でヤク堕ち。某えろげのBADENDパロです。
出水くんには他に恋人がいる設定。




淀んだ空を見ていた。
雲に覆われて星も月も一切見えない淀んだ空を見ていた。
時計もカレンダーも何もない殺風景な部屋から、ただ夜の星を眺めてあああのどれかが自分のいた世界だろうか、と思うことだけが最近の楽しみ、いや、楽しみというよりも生きる希望だったというのに、今日はそれすらもできず出水は半分死んだような目で空を見上げていた。
忘れもしないあの大侵攻の日、ハイレインの手によって攫われてからもう幾日が経つだろうか。
目覚めた時には知らない部屋にいた。当然ドアは開かない、メテオラをぶち込んで壊してやりたくてもトリガーも取り上げられて為す術がない。何故か異様に厳重な警備が敷かれていてこっそり逃げ出すことも出来ない。
…最も、その厳重な警備の意味はすぐに知ることになったのだが。



「…イズミ、また空を見ているのか」

ノックもせずに入り込んできた男、この部屋に出水を閉じ込めた張本人…ハイレインに一瞥をくれると、すぐに出水は窓の外に視線を戻した。
話すことなんて何もない、言葉も聞きたくない。そんな態度を隠すこともなく。
しかしハイレインはそんな出水に特に苛立ちを覚えた様子もなく、出水の傍へ寄ってくる。

「もうこの星は玄界からだいぶ遠ざかった。おまえの仲間が来る確率などたかが知れている。諦めることだな」

諦めろ。ここに閉じ込められてからもう何度も聞かされた言葉だ。
出水はその言葉にも何も答えず、ただ殺意の篭った視線だけを返した。
誰が諦めるものか、誰が。こんなところで一生を送るなんて冗談じゃない。
そんな出水の視線を、さぞ愉快なものでも見るようにハイレインは笑って受け止めた。

「ふ…まだ諦めない、か。まあその元気がいつまで持つかは見ものだな」

どうせ無駄だというのに、というハイレインの言葉に出水は小さく舌打ちをした。
誰も助けに来ないかもしれない、そんなの考えたくもない。考えたくもないのにこの男は毎日のようにその言葉を出水に聞かせてくる。
その度に出水の心は不安に揺らされる。もしかしたら本当に、なんて考えたくないのに。だからその度に空を見上げ星を探すのだった。ああそれなのに今日はその星すら見えない。

「さて…教育の時間だ」

ハイレインがこつこつと小さな足音を立てて出水の背後に回り、出水の首筋をゆるりと撫でる。
不快感にその手を振り払おうとして…したところで、ハイレインの取り出したものに出水は目を奪われた。

「そろそろ辛くなってきた頃だろう?」

ハイレインが懐から取り出したのは小さな薬瓶。
その薬瓶を見た瞬間出水の喉がこくんと鳴った。

「ぁ、…」

思わず漏れた欲望の声、出水ははっと自分の唇を噛んだ。
ハイレインは出水を捕らえた日から、連日出水の体に薬を投与し続けていた。
最初ハイレインの部下に押さえつけられて注射針を見せられた時、ああここで殺されるのならそれまでか、と半ば諦めながら出水はそれを受け入れた。しかしそんな出水を待っていたのは今までに味わったことのないような多幸感だった。
幸せすぎて気が狂うかと思った。目の前のものが全部きらきらと光って見えて、自分のいた世界のことなど忘れてしまうくらい幸せな気分。
そんな、普通では到底味わえないような多幸感をその薬はもたらした。
しかしその副作用として酷い依存性があり、しばらく時間を置くと酷い禁断症状が出た。
またその薬が欲しくて欲しくて仕方なくなるのである。心より先に体が疼いて、体が勝手にその薬を求めた。

「その…薬はなに…、おれに一体何をした…!」
じわ、と体が熱くなる感覚。自分の腕に爪を立ててそれを必死に抑えながら出水はハイレインを睨む。
ハイレインはその状態の出水を見、満足そうに笑みを浮かべながらその問いに答えてやる。

「荒れた他の近界で流行っているらしい麻薬、というものだ。それこそ理性も意志も根こそぎ奪うような。今までにもう数回投与したな…既に酷い依存状態にあるはずだ」

ハイレインが言葉を並べている間にも、出水の頬はじわりと朱の色を帯び始め、珠のような汗がいくつも浮かび始めていた。
これ以上あの薬を投与されてしまえばもう取り返しのつかないことになってしまうことくらい、今の熱に浮かされた出水でも分かる。
けれどその理性とは裏腹に、出水の体はその薬を求めていた。
渇く、酷く喉が渇く。出水は小さく喉を鳴らす。

「…それで、おれを麻薬漬けにして、何させようっての…?」
「簡単なことだ。私に忠誠を誓え、イズミ。そうしたらこれを今すぐ注射してやろう」

その薬は、今の出水にとってまさしく喉から手が出るほど欲しいものであった。
今こうしている間にも、体はその薬を求めてじわじわと疼いている。欲しい、それが、どうしようもなく欲しい。
数瞬置いて、出水ははあと熱い息を吐き出すと、ハイレインに向けて震える手を差し出した。
ハイレインは小さく笑ってその小瓶を出水の手にそっと握らせてやる、が、

「、…っ!」

出水は受け取ったその瓶を思い切り床に叩きつけた。カシャン、と瓶の砕け散る音、冷たい床にその液体が広がっていく。
たったそれだけの動作なのに息が上がる、心臓がばくばくと音を立てている。
あの多幸感を求めて狂いそうなほど疼く体をなんとか抑えて、出水は再びハイレインを睨んだ。

「これがおれの答えだ。…さっさと出てけよ」
「…ふむ、なかなか安いものでは無いのだがな、これは」

出水の言動に特に動じる態度も見せず、ハイレインは小さく嘆息する。
しかしはっきりと拒絶の意を示したのだ。疼く体は辛いが、これで諦めて出て行くはずだろう…と思った出水の考えは甘かった、酷く。
そんな出水を嘲笑うかのようにハイレインは再び自らの懐に手を伸ばす。

「それに、まだ用は残っている」
「え…?あ、なに…を…」

ハイレインが取り出したのは先ほどと同じ薬瓶だった。それも、先程よりも何本も多い。
その薬瓶を10本ほど、ハイレインは窓の傍にあるサイドテーブルに並べていく。
ああ欲しいものがあんなに。先ほど叩き割ったのも一瞬忘れて、出水はたまらずごくりと生唾を飲んだ。

「おまえはこの薬は要らないのだったな」

言うとハイレインはその薬瓶を手にとって、何をするかと思えば先ほど出水がしたのと同じように床に叩きつけた。
出水は目を見開いて、叩きつけられた薬瓶の欠片を凝視した。

「あっ!?、ぅあ…」
「ふ…」

ハイレインは更にもう一つそれを手に取ると、惜しげもなく床に叩きつける。更にもうひとつ。
カシャン、カシャンと硝子の割れる音、そして床に液体が広がっていくのを見るたびに、出水の表情は徐々に歪んでいった。
やめてやめて、いや違うこれでいいはず、なのに、ああ、でも喉が、喉が渇く。

「さあ、どうする?どんどん残り少なくなっていくぞ」

ハイレインは次から次へと薬瓶を叩き割っていく。出水を煽るかのように薄い笑みを浮かべて。
しかしそんなハイレインの顔など出水にはもう見えていなかった。今、出水の頭を支配していたのはその薬のことだけ。

「あ、あぁ、あ、あ…」

薬を求める本能と、求めてはいけないと止める理性の狭間で、出水の思考は掻き乱されておかしくなっていく。
ここで縋るなんてそれこそハイレインの思う壺だ。そんなの分かっているのに、薬瓶が割られる度に出水の体は焦燥感に駆られてじくじくと疼く。
出水は体を震わせながらぐしゃぐしゃと自分の頭を掻きむしった。

「や、やだ!お願い、やめて!」

出水が叫び声を上げてハイレインの腕に縋り付いたのは、最後の一本が割られる直前だった。
かたかたと全身を震わせて泣きそうになりながら縋る出水の姿を見て、ハイレインは満足そうに笑みを零した。

「お、お願いします…もう、やめて…」
「お願いすることが違うだろう?イズミ。おまえが欲しいものはなんだ?」

誘うようなハイレインの言葉。
抗いきれず、少しずつ、砂に水が染み入るように出水が堕ちていく。

「おねがい、します…くすり、を…」
「ん?」

小さく零した囁き。
ハイレインは聞こえているのに聞こえなかったふりをして、その答えをもう一度促した。

「お願いします…、おれに、お薬、ください…」

出水が堕ちた。
震える唇でその言葉を紡ぎながら、出水は目の前が真っ暗になるのを感じていた。
ぐらつく視界、震える体を支えきれずに出水はへたりとその場に崩れ落ちる。その、力なく項垂れる出水の頭をハイレインは愛おしそうに撫でた。
もうそれを振り払うことすら出来ない。

「ふ…、くく、ははは…!ついに屈したな、イズミ」
「っう、うう…」

ハイレインの笑い声だけが脳内に木霊する。出水は震える体を抱いて虚ろな目から涙を零した。
何も言い返せない。その通りだ、自分は薬欲しさにハイレインに屈した。
それが自分で分かっているから悔しくてどうしようもなくて、でも今の出水に出来ることなんて何もない。

「イズミ、薬が欲しければ服を脱げ。今から私はおまえを抱く、問題ないな?」
「う、く、ううう…!」

イエスともノーとも出水は首を振らない。
しかし今の出水にそれを拒否することなど、もうできなかった。





出水を抱くためために誂えられた大きなベッド。
そのベッドに組み敷かれて、出水は淫らに腰を揺らしハイレインの性器を受け入れていた。

「あ、ぁ、ひぁ、あ、ああ…」

ハイレインが腰を動かす度に、出水の瞳がとろんと蕩ける。
そこにA級1位太刀川隊の天才シューターである出水の姿は既に無かった。
セックスと薬に壊され、ただ淫蕩な笑みを浮かべる快楽に堕ちた少年の姿だけがそこにはあった。

「ふふ…良い姿だ、イズミ」
「あ、や、あぁ、あ、あ」

声まで淫らに揺らして、出水はハイレインとの交わりに酔いしれる。
ハイレインに抱かれるのがたまらなく幸せだとでもいうように、瞳を潤ませ自らも腰を振ってハイレインの抽挿に応える。
そんな出水を慈しむかのように、ハイレインがぐ、と最奥を突き上げると、出水は簡単に絶頂まで上り詰めた。

「んんっ!や、あ、ああっ、あ!」

今までで味わったことのない激しい絶頂。
体が快楽にがくがくと跳ねて、頭の中が真っ白になって、真っ白になったそこにはただ幸福だけがどろどろと流し込まれていく。
今の出水は、普通に生きていたらまず味わえないほどの幸せのただ中にいた。
緩んだ目尻からは勝手に涙が零れていく。

「戦場でのおまえもなかなかに麗しかったが…おまえはそうしているのが一番似合うな、イズミ」
「あ…、ああ…、は、あ…」
「…まあ今となってはもう戦場に立つことなど無理だろうな。もう何度もこれを投与したな。たとえ玄界に帰れたとしてもおまえはまともに生活などできないことだろうよ」
「ふ、ざけ、あ、あっ、ひ、ぁ」

もう、戦えない?
靄のかかった思考にハイレインの言葉がぼんやり響いて、出水の心に怒りの感情が芽生える。
しかし心はハイレインに対する憎しみで燃え立つほどなのに、多幸感で頬は緩み、目尻は下がり、笑みが浮かぶ。
そしてその怒りさえも、

「あ、あっ、やめ、あ、ああ、」

ハイレインがぐちゅりと中を軽くかき回すだけで、あっという間に激しい快楽に上書きされて分からなくなる。
憎いはずなのに、ハイレインの性器に貫かれて悦びを感じる自分の体が悔しくてたまらない。そしてそれすらも次の瞬間には塗り潰される。自分が何を考えていたのか忘れる。
今出水に与えられるのはどうしようもない多幸感だけであった。それ以外には何もない。
出水はだらしなく笑みを浮かべながら、甘い声でハイレインにもっと、とねだる。もっともっと、この快楽をください。

「あ、あ、もっとおくすり、ください…」
「そうだな…私のことはハイレインと呼べ」
「はい、れいん…?」
「そうだ、ちゃんと呼べたら薬を追加してやろう」
「くす、り…」

快楽に蕩けた脳に一瞬だけ理性が戻る。
さっきあいつはなんて言った?もうまともに暮らせないくらいの量を投与した、って言ってなかったか?
今でさえこんな酷い状態なのにこれ以上なんて、出水の脳裏に一瞬だけ恐怖の感情が浮かび上がる。
出水はハイレインを睨む(実際にはもう目元は緩みきっていて、ただ甘えた視線を向けるのみになってしまったのだが)と、蕩けた甘い声でしかし否定の言葉を返した。

「んなこと、だ、れがっ、ああっ!、ひ、あ、あ、ぅ」
「呼べるだろう?イズミ」

ハイレインが軽く中を揺さぶるだけで、壊れそうなほどの快楽が全身を襲う。更にこつこつと奥を突かれて再び出水は絶頂に身を震わせた。
多幸感で上書きされる脳。もう、さっきの自分が何を考えていたのかさえ分からない。
頭の中は今与えられている快楽と薬のことでいっぱいになる。

「おまえを気持ちよくしてくれる薬だ、欲しいだろう?」
「あ、あ…」
「イズミ」
「ひ、あっ、あ、は、いれいん…」

とろりと蕩けた目、その瞳がハイレインだけを捉えて、出水はハイレインの名前を口にする。
それが甚く気に入ったのか、ハイレインは出水の中に埋め込んでいる自らの熱を大きくした。
ハイレインは熱く息を吐くと、ゆるゆると腰を動かしながら緩みきった出水の頬を撫でた。

「もう一度だ、イズミ」
「っあ、あ、はい、れいん、はいれいん…」

穏やかな抽挿、しかしそれすらも今の出水には酷い快楽をもたらした。
まるで愛しい人の名前でも呼ぶように、出水は甘く蕩けた声でハイレインの名前を口にする。
もうそこに出水の意志など介在していない。ただ熱に浮かされたまま、うわ言のように繰り返すのみ。

「ふ…良い子だイズミ」

ハイレインは出水の髪をさらりと撫でると、ベッド横に放り投げていた注射器を手に取る。
早く早く、と蕩けた笑みを浮かべながら腕を伸ばす出水の腕を優しく掴んで、ハイレインは出水にその薬を注射した。
ぷつり、と注射針が出水の血管の中に入り込む。そこから薬がじわじわと広がって快楽に蕩けた出水の脳を更に揺さぶった。

「あ、あ、あっ!ひ、う、ああ、あっ」
「は…、っく、イズミ…」
「ああぁ!あっ、や、ああ、あ…っ!」

薬によってもたらされる多幸感。そしてその薬が増幅させるセックスの快楽。
自らの絶頂を求めてハイレインは抽挿を激しくする。ハイレインの性器が中を擦り上げる度に、出水は軽い絶頂を何度も味わって目を回しそうになった。
やがてハイレインは精液を出水の中に吐き出して、それがどろりと中に広がっていく感覚にすら快楽を覚えて、出水はひくひくと体を痙攣させる。その姿はまるで電流を流された蛙のような酷く哀れな姿。
しかしハイレインはそんな出水を慈しむようにゆるりと頬を撫でた。

「哀れだな…イズミ。おまえが私の部下になることを拒まなければ、こんなことにはならなかっただろうに」
「っあ、ふ、あ…?」
「変な意地など張るからこうなるのだ。ふ…これからは私の夜の相手だけをして一生を過ごすがいい」

一生?こんなことを?
出水の尊厳も自由も全て踏み荒らすようなハイレインの言葉に、出水の感情が僅かだけ反応する。
ふざけるな、おれは元の世界に帰るんだこんなところで一生おまえの相手なんてごめんだ。帰って会いたい人がいるんだ。
出水の頭は憎しみと怒りでいっぱいに―――なりかけた。

「(あ、あれ…?)」

しかし今の出水にはもうその感情が起こらない。
頭の片隅ではここで相手を憎むべきだと、怒りを覚えるべきだと分かっているのに、ただ言葉だけが上滑りしていく。

「(あ、あ、なんで…)」
「どうした?そんなに嬉しそうな顔をして。私に抱かれているのがそんなに嬉しいのか?」

泣きたい気持ちが湧き上がりかけて、しかしその感情もすぐに悦びに上書きされていく。
言葉が心の中で浮かぶだけで、それが怒りという感情まで昇華されることがない。
感情を司る部分がもう完全に壊れてしまったのだ。散々に投与された薬のせいで、そして先程投与された薬がとどめだった。
もう、出水の心に怒りや悲しみの感情が湧き上がることなどない。あるのは狂ったような悦びだけ。

「ひ、あ、うそ、うそ、あ、あ、あ…」
「何が嘘だと言うのだ、おまえの体は私の性器を求めて今もしつこく絡みついてくるぞ」
「あっあ!、や、やあっ、ああ、あ」

言って再びハイレインは緩く腰を動かし始める。
ああ、また何も分からなくなる。快楽の渦の中で出水はぼんやりと大切だったはずのものに手を伸ばす。けれど全てそれらは手の中から零れ落ちて消えていく。
あんなに帰りたがっていた自分の世界も、友達も、家族も。
そして愛していたはずの人の姿さえ、名前さえ、快楽に塗り潰されて消えていく。

「あ、あ、や、やだ、あ、あ…」

体が溶けていくような多幸感と満足感、今の出水にあるのはただそれだけだった。
出水は今、間違いなくハイレインとの交わりに人生で最上の悦びを感じていた。
その、悦びを感じている自分が信じられなくて、出水は弱々しく首を横に振る。

「ひっ、ぐ、うぁ、ちが、おれ、おれ、は…」
「難しいことなど何も考えなくていい。今はただこの幸せに酔っていろ」
「、あ…」

酷く優しいハイレインの声。
その声に救われたかのように、自らの涎でべたべたになった唇を歪ませて出水は笑った。

「(そっかぁ…それで、いいんだぁ…)」

出水が壊れた。

「あ、あ、はい、れいん、ね、もっと、もっと…」

出水は自ら腰を揺らめかせてハイレインの性器に奉仕を加える。
その度に中に散々吐き出された精液がぬちゅぬちゅと卑猥な音を立てた。
今の出水の瞳にはもうハイレインしか映っていない。快楽を与えてくれる目の前のただ一人しか。

「それでいい、イズミ。おまえは私のためだけに生きろ」
「あ、あ、おれ、はいれいん、のために、生きる、から、ぁ、もっと、いっぱい、してぇ…」
「ふ…本当におまえは可愛らしいな…」
「あっ、あ、あ!ああっ、ひ、あっ、!」

待ちかねたハイレインからの激しい律動。出水は歓喜にがくがくと体を跳ねさせる。
考えることをやめた出水の脳内にはもう快楽と幸福しかない。出水はだらしなく蕩けた笑みを隠そうともせずに、もう何度目かも分からない絶頂を迎えた。
そしてくたりと糸が切れたように脱力した出水の頬をハイレインは愛おしげに撫でる。
この手に堕ちた愛おしい鳥。

「あ…、あ…、はい、れいん…」

ハイレインの手に猫のように顔をすり寄せながら、出水はうっとりと目を閉じる。
眠りに落ちる出水の顔はただひたすら、幸福なものであった。








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