他人のことにはとにかく疎くて、初対面の印象など聞かれてもはてと首を傾げてしまう千歳でも、初めて白石に会った時のあの衝撃は覚えている。
とにかく清廉で、美しかった。彼が纏う空気だとか雰囲気だとか全てが。
微笑む顔は穏やかなのに、ぴんと研ぎ澄まされた美しさに一瞬で心を奪われた。
その彼がまさか。こんな風に下品な音を立てながら、自分の醜く勃起したものにむしゃぶりつく姿など誰が想像できただろうか。



「くら…いいかげん、ふやけてしまうばい…」

乱れる吐息を抑えつつ、甘えたような困ったような声で呟く。
その声に応えるように、白石はわざとらしく舌を出して唾液の糸を引かせながら千歳のものから口を離した。

「だぁーめ」

白石は千歳の熱り立ったものをいとおしそうに白い手のひらで包み込むと、そのままそこに上気した頬を寄せた。
そしてうっとりとした表情を浮かべながら柔らかな頬で濡れたそこに頬ずりする。
初めて会った時と変わらぬ清廉な美しい顔。その綺麗な顔がぬらぬらといやらしく光るグロテスクなものに恍惚とした表情で頬を寄せている。
そのギャップの淫らさだけで達してしまいそうなほどだった。

「今日は、俺の誕生日、なんやから…俺が満足するまでたーっぷり味あわせてもらうで?」

白石はいやらしい微笑みを浮かべると透明な先走りを吐き出す千歳の先端にかぷ、と柔らかく噛み付いた。
そのまま舌先でくちゅくちゅと唾液の音をさせて刺激してやれば、千歳は喉をひくりと震わせて快楽に呻く。
じんじんと痺れるように迫ってくる射精感。余裕の無さを誤魔化すように白石の髪をさらりと撫でてやれば、白石はそれすらもお見通しのように上目遣いで小さく笑う。
そして止めと言わんばかりにじゅ、と音を立てて吸い、びくびくと震える千歳のそれを更に追い詰めた。

「っ、あ、くら…」

とうとう耐えることなどできなくなって、千歳は促されるままどろりと熱い精液を吐き出した。
電流のようにびりりとした快感が頭のてっぺんから足の先まで走って、頭の中が真っ白になる。
はあはあと荒い呼吸を何度か繰り返して思考と視界をクリアにすれば、目に入るのは小さく喉を鳴らす白石の姿。
見下ろす千歳の視線に気づくと白石はゆっくりと唇を離した。

「ん…、ふふ、…めっちゃ、濃い」
「そりゃ、1週間もお預けくらえばそうなるばい…」

飲みきれずに口の端から零れた精液を、白石は親指でねっとりと掬い取って見せつけるように舐める。まだ満足なんてしていないというような笑みを浮かべて。

「じゃあ、まだまだいけるってことやな?」

萎えて柔らかくなった千歳のものを手のひらで優しく包み込んで、親指で先端をふにふにと弄る。
達したばかりで敏感なそこは、白石の滑らかな指を感じて再び硬度を取り戻し始めた。それを確かめるように白石はきゅ、と軽く握って上下に扱く。
緩やかだけれど腰が溶けるような刺激。あっという間に血が集まってくるのが分かる。
しかしいつまでも白石に主導権を握らせておくのもなんだか自分の男としてのプライドが許さないので(まあ白石も男だけれど)、千歳は白石の脇にすっと腕を回すとそのまま抱き上げて膝の上に座らせた。
そして掠れた声で囁いてやる。

「俺にもさせてほしか」

白石がぴくんと肩を震わせたのを見て千歳はにやりとする。
着ているシャツの裾から手を入れて細い腰を撫で上げてやれば、白石はふっと力を抜いて千歳の胸に体を預けた。
勝った。千歳がそう思った瞬間白石は油断していた千歳の胸を肩で押して、座っていたベッドに千歳ごと倒れこむ。
不意をつかれた千歳はぐえ、と情けない声をあげてしまった。

「えー、今日くらい俺の好きにさせてや」

白石は千歳の胸にぺたんと顔をくっつけたまま、晒されたままの千歳の性器につつつと指を這わせる。
割といつも好きにやっているくせに。言いかけて飲み込んで、代わりにまだ何か言いたそうな白石の頭を撫でた。

「やってせっかくの誕生日なんやから、俺の一番好きなものを好きなようにする、ってのをプレゼントにしてくれてもええやん?」

なるほど彼の望みは俺を好きにすることらしい。そして一番好きなもの、とさらりと言われてしまったことに千歳はなんだかむずむずするような嬉しさを感じてしまう。
だけれど千歳だって。

「うん、誕生日やけん。くらの誕生日やけん、俺も一番好きなくらのためにくらのこついっぱい気持ちよくさせてやりたかーって思っとる。だから俺にもさせてほしかよ、くらもいっぱい好きにしてよかけん。ね?」

なんだかお互い恥ずかしい言葉の応酬をしている気がする。後で冷静になったら頭を抱えて転がってしまいそうだ。
でも実際そう思っているのだから仕方ない。
白石に触られて求められて好きにされるのだってたまらなく気持ちよく幸せなのだけれど、やっぱり自分からも思い切り愛してやりたいのだ。

「しゃーないなあ」

白石はふ、と小さく息を吐くと、どうにでもしてくれというように体の力を抜いて千歳の首筋に顔を埋めた。

「今日は一日中ここから出す気、ないからな」
「はは、ケーキはどうするとや?」
「明日でええもん」

それよりももっと欲しいものがあるのだから。
急かすように白石は足を絡めてくる。千歳は白石のズボンを緩慢とした動作で脱がせながらそっと囁く。

「もう何度目か分からんけど」
「うん」
「誕生日おめでとう、くら」

くすぐったそうに白石はふふ、と笑いながら千歳の胸に顔を擦り寄せた。
甘えたがりの猫のような動作がまた愛らしくて、千歳は柔らかな髪にそっと唇を落とした。






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ちんこに頬ずりしてる白石くんが書きたかったんですよーーーーー。
白石くんおめでと!


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