おおきないぬのしつけかた



途中くら♀×ちとっぽい描写があります。
ご注意ください。



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千歳は酷いやつだ。いつも思うけど、今もまた思う。
待たされるのはよくあることだけど(というか毎回だけど)、こんなに待つのは久しぶりやなあとか思いつつ、携帯を開く。
時間は1時34分。約束の時間はとうに過ぎている。

千歳の遅刻癖はそれはもう酷いもので。
学校やら部活やらに遅刻するのはもういつものことで、こうやってたまのデートにだって、時間通りに来てくれない。
ほんとあいつは酷いやつだ(大切な彼女をこんなとこで一人で待たせるなんて、ナンパを断るのに苦労するこっちの身にもなってみろ)、千歳に自覚がないらしいのが更に腹立たしい。

ため息を吐きながら携帯を閉じる。
こっちをちらちらと見ながら近づいてくる男たちの姿が見えて(またか、もう相手するのも面倒だ)、そっと人ごみに紛れてその場を離れた。
足を向けるのはあのあほの家。
どうせまだぐーすか寝ているであろう千歳の家だ。



「…やっぱり寝とる」

ドアに鍵がかかっていた時点で大体予想はついてたけど(こいつは昼間起きているときはいつも開けているから、無用心なやつだ)、千歳はやっぱりまだ夢の中だった。
携帯と合鍵をしまったかばんをそのへんに放り投げて、でかい布団に包まれたでかい体へと向かう。
すうすうと小さく寝息をたてる千歳の顔を見ていると、愛しさが湧いてくる…わけもなく、ふつふつと怒りがこみあげてきた(うちをこんなに待たせて自分は気持ちよさそうに寝やがって)。
思いっきりひっぱたいて起こしてやろうかなあとも思ったけど、はたと考える。もっと、いいおしおきがあるんじゃないかな。
千歳の焦ったような切羽詰ったような顔がみられるおしおき…そうだ。

放り投げたかばんを引き寄せて、もそもそと中を漁る。
確か今日も持ってたはず…あった。
それを手にとって再び千歳のもとへ。さっきまではとてもいらいらしてたけど、今はすごくわくわくした気分。
思わず口の端からは笑みが零れてきてしまう。

さてさて千歳くん、おしおきの時間です。



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