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ゼロスとレイヴンという最悪な組み合わせの声に、次々と他のルークを狙う男連中が集まってきた。自分こそが選ばれると言い争っている彼らに、ルークは泣きたいのを我慢して叫ぶ
「あーもー、うるせぇつーの!!オレは誰にも渡さねぇし、お前らのモノになんかならねぇ!!」
キッパリと言い切ったというのに、素直じゃないんだからと取り合ってくれない。いい加減この追いかけっこにもウンザリしていたルークは堪忍袋の緒が切れる
「いい加減に─────」
「悪いが、こいつはオレのだから、さっさと諦めてくれ」
キレかけたルークの口を抑えて、ユーリははっきりと告げた
え、何でここに。そんな疑問を吹っ飛んだルークを背後から抱き締めているユーリに、一気に殺気が集中した
「ちょっと青年〜。いきなり参戦はないんじゃな〜い?」
「それにルークから離れろ!羨ましい……じゃなくて、ルークだって迷惑だろ!!」
レイヴンとガイからの攻撃にも、何のその。ユーリはニヤリと不敵に笑う
「迷惑、ねぇ……。じゃ、試してみるか?」
ポカンと固まっているルークの顎を掴み、みんなが見ている前だというのに口唇が重なる。あ、とロイドが驚く声が聞こえたが、ルークはそれどころではない
何がなんだか分からないルークは、固まったままユーリの好きなようにさせている。よって、目を見開いたままだから、ドアップのユーリの顔が映し出されているのだ。何でこんなに顔が近いのか理解した頃になってやっと、抵抗しようとユーリの胸元を押して離れようとする。が、後頭部を抑えられていて身動きが全く取れない
「ユー……リっ、や…っ」
離せ、と喋ろうとして口を開いたのが間違いであった。チャンスとばかりに、ユーリの舌が侵入してくる。生暖かく、湿ったモノが自身の舌と重なる
「んぅっ、んんんっ」
くちゃぬちゃと生々しい音が鳴る。恥ずかしくて耳を塞ぎたくなったが、初めての口付け、それもディープキスにただただ翻弄されてしまった
段々と力が入らなくなってきて、ユーリの胸元を押していた両手が縋るように服を掴んでいた。足がガクガクと震え出してくると、ルークが立っていられなくなっていることに気付いたのか。ユーリはやっと口唇を離した
「立ってらんねぇくらい、気持ち良かったのか、ルーク?」
ニヤニヤと意地悪く笑うユーリに違うと噛みついてやりたいが、図星だったのもあって思いっきり睨む。まだ整っていない息が自分だけなのも、腹が立つ
「んな顔、オレ以外に見せんじゃねぇよ」
どんな顔だよ、と反論する前にユーリに顔を隠すように抱き締められた。後ろから、今まで以上に殺気を感じて、やっと人前だというのを思い出した
奴らだけでも恥ずかしいのに、ロイドやクレスにも見られたのだ。これからどんな顔して会えばいいのだ
「じゃ、そういうことで。さっさと諦めろよ」
顔を真っ赤にしたルークを横抱きにして、ユーリはさっさと退散した
「「「待て、こらぁぁぁぁぁぁっっっ!!」」」
般若や涙目、様々な表情をした男達と盛大な追いかけっこが始まったのだった
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