そして、二家族が同居してから初の登校日。後ろ姿からすぐに分かる、ド派手なミラに挨拶をする

「今日は機嫌がいいな、ルーク。何かいいことがあったのか?」
「だって、あの家族と会わなくていいし!学校だけがオレの平穏になったからな。からかってくるムカつく奴もいない」

何て清々しい朝だ、と機嫌がいいルークの後ろに現れた男にミラは「あ」と声を出す。だが、ルークが振り向く前に後ろから頬を引っ張られてしまった

「あでででででで!!」
「そのムカつく奴は、こんな顔か、ルーク?」

両方の頬を引っ張られて、凄い顔になっている。しかも、容赦なく引っ張っているものだから痛い

「いてぇつーの、ユーリ!!何でここにいんだよ!?げっ、うちの制服……まさか!?」
「そのまさか。転校してきた。お前、説明する前に行っちまうんだもんな」
「はぁぁぁぁっ!?嘘だろ!?前の学校に戻れ!」
「遠いから嫌に決まってんだろ。そんなにオレが来て嬉しいわけ?光栄だね」

どこが光栄に思っているんだ。そんな棒読みで

大体、嬉しいのではなく迷惑なのだと叫ぶと、また頬を引っ張られてしまう

「おー、よく伸びる伸びる」
「いー加減にしろ、バカユーリ!!」

そんな二人の様子は、登校する者達からは、とうとうルークに彼氏が出来たのかとか。あのかっこい人は誰なのかとか。二人はどういう仲なのかと噂で持ちきりだった

「ふむ。ルークに春がやってくるかもしれないな。確か、喧嘩するほど仲がいいだったか。聞いていたよりも、良い奴みたいだしな。お似合いの二人だろう」

などと、一人ミラが納得していたのを知る人間はいなかった

それからというも、ユーリとはどういう関係なのかと質問攻めにあった

彼氏なのかと聞かれた時は全力で否定したけど

「あんな奴のどこがいいんだ」

やっと質問攻めから解放されたルークはミラに愚痴を言っていた

「ふむ、顔だろうか。綺麗な顔立ちだから、余計ではないか」
「……ふーん、そ」
「ほう、気になるか?」

あのな、と呆れる。別にユーリがモテようとどうでもいい

「つーか、ミラが褒めるのは珍しいよな。ユーリみたいなのが好みなのか?」

そう言うと、ミラは少し驚いていたがすぐに微笑んだ

「いや、一般論というやつだよ。さっきから入口に彼を見にきている奴らが話していた」

そう話すミラを、ルークはじっと見つめる

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