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(これは教えがいがありますねぇ)
何もない。真っ白で純粋なルークを自分好みに育てられる。それが興奮する
「ルークだけの治療ですよ。胸のモヤモヤが取れたでしょう?」
「あ、ホントだ。すげぇな、ジェイド!!」
キラキラと目を輝かせながら言うルーク。何でも素直に信じるのはルークらしいが。自分だけにしてほしなんて思うのは、我ながら重症だなと苦笑しそうだ
「ルーク、私も同じ病気なのです」
「えっ!?そうなのか?」
「はい。ですから、ルークから私がしたように同じことをしていただけませんか?」
分かった、とルークは顔を近付けてきて恐る恐る口唇を合わせる。たどたどしい舌の動きに、いやに興奮してしまう
決して上手くなどない。むしろ慣れていない動きが嬉しくて堪らない
「ルーク、この治療は私達二人にしか通じないのです。ですから他の方としてはいけませんよ?それから、口外したら効果が薄れてしまうのです。私とルークだけの秘密。いいですね?」
キスの合間に、ルークに釘を差しておく。特にガイにバレたら厄介だし面倒である。せっかくの楽しみを邪魔されるだろう
「ガイもダメなのか?」
「はい、勿論です。二人で治していきましょう?」
何の疑いもなく、ルークは頷く。これで、邪魔されることはない
翌日。食堂であーんをしているルークと、口を開けているジェイドを仲間達が唖然と見ている
「うわ、何なのあのバカップルは〜」
「まぁ、いつの間にそんな関係になりましたの」
げんなりとしているアニスと、素直に興味を持っているナタリア。そんな二人の後ろで、唯一事情を知っているティアは苦笑していた
(まだ付き合ってないみたいだけど。大佐が上手く丸めこんだのね)
ルークの様子から、好きだと自覚したわけではなさそうだが。幸せそうなら、それでいい
「ま、あそこよりはマシだけどさ〜」
アニスが見た先には、部屋の片隅で体育座りをして、キノコでも生えていそうなくらい暗くジメジメしているのは、ガイだった
「俺の……俺のルークがぁぁぁ」
「いや、あんたのじゃないって」
さっきからこの調子なガイに、アニスは疲れたようにつっこむ
「もう、こいつら。重症な病だね〜」
「ふふ、そうね」
呆れたアニスに、ティアが同意する
幸せそうな二人と、正反対な一人
そう、それは一番厄介で、一番美しい恋の病
End
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