ビクンと身体を揺らすルークを見て、ユーリは確信した

「確かに、オレは貴族が嫌いだ」
「…っ!!」

ズキッと痛む胸元を掴む。苦しくて辛くて、目尻から雫が落ちそうになるのを必死に我慢した。すると、それに気付いたユーリはルークの頭を撫でる

「だが、ここにいる貴族はオレが嫌っていた貴族とは違う。特に誰かさんは、自分よりも他人を優先するお人好しだ。身体がボロボロになっても、誰かの為に働いている。オレの知ってる貴族は、そんなことしねーからな」

え、とユーリを見る。彼は、仕方ないなと言いたげに微笑んでいた

「従者を庇って、誘拐犯かもしれねーのに自分を連れていけ。その代わり従者には手を出すな、なんて普通言わねぇんだよ」
「うっ…」

聞き覚えがあるシーンに、ルークは言葉を失う。確かに、せっかく助けに来てくれたルナ達を敵だと勘違いしてガイが戦って敗北してしまった時、ユーリが言った内容のとおり行動したのだ

後でジェイドやティアにこっぴどく怒られたのだが

「悪かったな、嫌な態度をとって。気分悪くしただろ?」
「嫌ってないの?……オレを」
「あぁ、勿論」

ユーリの言葉にルークはホッと息を吐く。ずっと嫌われていると思っていたから素直に嬉しかった

「そっか、良かった」
「……っ!!あ、あぁ」

安心して微笑むと、ユーリは息を飲んで目を逸らした。不思議に思い訊ねようとしたら、その前にドアが開いた

「ユーリ、これからクエストに……ルーク?どうしたんです?」

エステルが入ってきたと思ったら、ベッドで寝ているルークの元に駆け寄ってきた

「高い熱を出してんだ。エステル、悪いがこいつの従者に気付かれないようにリフィルかルカから薬貰ってきてくれ」
「ジェイドじゃなくていいんです?」

その名を出されて、無意識に身体がビクリと震える。それを横目で見ていたユーリは首を振った

「あぁ、そのどっちかで頼む」
「分かりました。ルーク、待ってて下さいね。すぐに貰ってきますから!」

迷惑かけてゴメン。そう言うとエステルはニコリと笑って、困った時はお互い様です、と出ていった

エステルにまで迷惑をかけてしまい、何だか落ち込む。そんなルークに、ユーリはいいから寝てろと布団をかけた

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