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「ピオニー陛下!?」
驚愕するルークの肩を軽く叩き、ピオニーはジェイドの元に向かう
「最近、お前さんの行動がやりすぎだと報告があった。一緒に国に帰ってもらうぞ」
ぞろぞろとピオニーの後ろから入ってきたのは、見覚えがある国の兵士達だった
「悪いが、これは命令だ」
黙ってピオニーを見つめるジェイドだったが、兵士達に囲まれても抵抗しない
「陛下のご命令とあれば、御意に」
そのまま、ユーリとルーク達の横を通り過ぎた
「気付いてやれなくてすまなかった」
「陛下……」
ルークの頭を撫で、ピオニーは出ていった
「今回、ユーリに怪我を負わせたことを内密にピオニー陛下にお知らせしたのはわたしなんです。最近、ルークが元気がないですし。仲間にも被害が出ていると皆さんから聞きました。勝手なことをして、すみません」
エステルは皆に頭を下げる。だが、責める者はいなかった
「エステルが謝る必要ない。心配かけてごめんな。いや、有難う」
ルークがそう言うと、エステルはホッと息を吐く
「皆も…有難う」
久しぶりに見るルークの微笑みに、誰もが安心したように笑った
だが、まだ完全に不安が拭えたわけではない
本当にユーリを選んで良かったのだろうか。あんなにあっさりとジェイドが引き下がったのが作戦のような気がしてならない
本当に、これで終わったのだろうか
「ルーク」
部屋に戻ったルークに、ユーリは心配からか一緒にいた。また震えるルークを、ユーリは抱き締める
「なぁ、抱いていいか?」
「っぇ!?」
ユーリからの唐突な誘いに、ルークは驚く
「っ、でもオレ…。ジェイドに……」
「分かってる。だから、オレのだって印を付けたいんだ」
「でも、汚ないから…」
あくまでも卑屈になっているルークを押し倒す。服を脱がし、首筋に沢山あるキスマークを全てユーリ自身ので上書きする
「っ、ユーリ…っ」
「全部忘れさせてやる。だから、オレだけに感じていろ」
どこか荒々しく、どこか優しく。初めてユーリに触れられる喜びに、ルークは幸せで堪らなかった
この幸せが、どこまでも続いてほしい
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