プロローグ@
とある街に住む双子の姉妹。気が強い姉と、自分に自信がない妹。どちらも周りの男の視線を釘付けにしているなど、知らないのは本人達だけだった
正反対のような二人だが、案外似ている双子は仲がいいことでも有名であった
「…今、何つった!?」
今日も平々凡々な日常だと思っていたルークとルゥを待ち構えていたのは、父親からの衝撃的な一言だった
「二人に婚約者が出来てしまったと言ったのだ」
テヘ、と可愛くもない、いやむしろ気持ち悪い態度で言いやがった
「ふっざけんな!!俺は嫌だからな!絶対破棄だ、破棄!!」
「オレだってイヤだよ!何でそうなんの!?」
ルークもルゥも猛反対するが、父親はうるうると潤んだ瞳を見せる
「パパだって、身を切る思いなんだぞ!?だが、そうしないと会社が危ないのだ」
その言葉に、ルークは今度こそぶちギレた
「平成時代で政略結婚なんて、ふっざけんじゃねぇ!!このクソ親父っ!!」
テーブルにあったフォークを父親の顔すれすれに投げつけ、うるさい足音を立てながら二階にある部屋に戻った
父親が可愛い娘から全力の拒絶にショックを受け灰になっているが、ルゥも無視をして部屋に戻る
いつもなら庇うが、今日は許せなかった
「あんのクソ親父!今時政略結婚なんてありえねぇつーの」
「でもどうしよう。本当に婚約者なんて…」
苛々して頭を掻きむしるルークと、顔を青ざめるルゥ
「これじゃ、益々告白なんて出来ないよ…」
ルゥの言葉に、ルークはピタリと止まる。思わずルゥを凝視すると、顔を赤らめて俯いてしまった
「あ、その…好きな人がいるんだ」
「は?マジなのか?」
初耳だと驚く。ルゥが頷いたのを見て、本当なのだと分かった
「いつ告るんだ?」
「な…っ!?そんなこと、出来ない!!」
「は?告るつもりじゃなかったのか?」
益々告白出来ない、なんて言っていたから、もうするつもりなのかと思っていた
「だって…女なんて見てくれていないし」
「お前が?んな、まさか」
ルゥに告白する男子など沢山いる。天然だから、全部本気だと思っていないので、男共は全て玉砕していた。これに関してはルークも同じなのだが、何故か自分のことには気付かないのは双子だからか。一緒である
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