お〜、とルークは瞳を輝かせながらキョロキョロと辺りを見渡している。見た事がないから、何から何まで新鮮なのだろう

「迷子になんなよ?」

からかうように言うと、ルークはむすっとした顔になった

「ガキ扱いすんじゃねー!」

余程気を悪くさせたのか、さっさと行こうとしているルークの手を握る

「先に行くなってーの。はぐれたら探すの骨が折れるからな」
「だ、だからって手…!」

離せ、と手をブンブンと振り回すが、ユーリはそのまま歩きだした

「おい…っ!」
「いいじゃねーか、ほら行くぞ」

ルークの意見を無視して、手を繋いだまま、街を見ていく

何も気にしていないユーリとは裏腹に、ルークは周りの視線が気になっていた

「ルーク、何か見たいのはあるか?」
「つーか、よく知らねーし」

それもそうか、とユーリは自身が好きなアイスを購入するのに一旦手を離して、店内に入っていった。ルークは外で待つ事にした

正直、女にへらへらしているユーリを見たくなかった

「ねぇねぇ、君一人?だったら俺らと遊ぼうぜ?」
「おっ、よく見ると可愛い顔してんじゃん」

二人の男に声をかけられたが、言っている内容が理解出来ない

「無視するなよ」

肩に腕を回されるが、ルークは振り払おうとした。だが、二人の男が目の前から吹っ飛ぶ。驚くと、ユーリが怖い表情をして二人を見ていた

「…殺す」

誰にも届かない程の小声で囁くユーリ。ゾクッと背筋に悪寒が走る。ルークは今にも剣を抜こうとしているユーリの腕を掴んだ

「ユーリ!やめろ…っ!」
「ルーク、離せ。こいつらに分からせてやらねーといけねーからな」

今まで聞いた事がない低音でそう言い放つ。だが、それを許せるはずがなかった

「俺何もされてねーし。だからいいだろ!?」

必死なルークに、やっとユーリは落ち着いた。いつものユーリだった

「そこまでルークが言うなら仕方ねーな。だが、二度目はねーぞ」

コクコクと頷き、二人は一目散に逃げ出した。ユーリは購入してきた少し溶けてしまったアイスをルークに差し出す

「溶けちまったな」
「いーよ、食えるし」

ルークはさっき見たユーリを忘れるように、目の前のアイスを頬張った

(良かった、いつものユーリだ)

甘い物が大好きな、ルークが好きになった人

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