理性崩れる月夜の話/セルリオ | ナノ
※セルカ視点
「リオ様っ」
「ひゃあ!」
本能のまま動くなんてらしくない。優しく、彼女の前では紳士でいたいはずなのに。鎖が外れたかのように彼女を求める。愛おしい気持ちが溢れる。柔らかな唇に口づけを落とせば最後。あなたが欲しくて堪らなくなる。
(リオ様、ごめんなさい…)
心の中でそっと謝罪をし、荒々しく口づけをする。まるで媚薬だ。飽きることを知らない。口をそのまま下へ降ろし、彼女の首筋に朱く痕を残す。白い肌に映えるようにきつく吸い上げれば、彼女は自分のものだという優越感が生まれる。そんな感情に浸りながらそっと彼女を見ると頬は赤く染まり、大きな瞳に涙を溜めながらも、声が出ないように手で口を抑えている。知ってますかリオ様、それは男を煽るだけであるということを。背筋がぞくりとした。普段明るく元気な彼女がこんな色っぽくなるなんて町の人は誰が知っているんだろうか。ああなんてズルい人なんだろう。無自覚というのは恐ろしいものだ。
「リオ様…私を見てください…」
「セルカ、さん」
「私が、怖いですか」
震える彼女の頬を両手で包み込み、視線を合わす。
いつだってあなたを甘やかすようにしてきた。経験のない彼女とゆっくりと歩むつもりだった。なのにこんな無理やり…。嫌われたかもしれない。
「怖くない、って言ったら嘘になります。…でも、私はあなたを知りたい」
「リオ様…っ」
「セルカさん、大好きです」
くらりと目眩が起きた気がした。
あなたって人はどうしてこんなにも私を喜ばせることばかり言ってくれれるのだろう。震えている彼女の指に絡ませ、そっと壊れ物を扱うかのようにキスを送る。
「リオ様…愛しています…」
さあともにこの真新しいシーツへ沈みましょう。
理性崩れる月夜の話
失敗しました。
お題元:モノクロメルヘン