暴君シェフと前途多難な片思い/レガミノ | ナノ


甘いマスクに確かな料理の腕前。性格も温厚で、女の子にも優しい。ここまで聞けば完璧なんだろう。一つ、欠点を除けば。

「ああ何?ミノリいたんだ?もう閉店だから帰れよ」

同じ笑顔のはずなのに何かが違う。さっきまでの接客用スマイルが王子様なら今の笑顔は…暴君だ。
ミステルも中々の魔王具合だけどそれはまた別な話。

「いつになったら私が注文した料理出てくるの?」
「…あぁそれならとっくに出来てるよ」
「じゃあ出してよ!私のモンブラン!」
「ちっ」

さらっと舌打ちをするのはやめてほしい。
レーガから渡されるモンブランは見た目だけはそれはもう美味しそうで。腕だけは確かなんだなあとしみじみ思いながら一口食べる。

「しょっぱ…」
「540Gになります」

ああこんなときだけ王子様スマイル…。イケメンはこれだから…。

「これ絶対大量に塩入れたでしょ…」
「540Gになります」

こんな料理出しといて金を取る気かコイツ…!!
にっこり笑いながらお金を出すよう催促しているレーガの右手にそっとさっき拾った雑草を置いた。

「ふざけてるのかお前」
「痛い痛いごめんなさいごめんなさい!!」

頭を恐ろしい力で掴まれる。反射的にお金を出してしまった。

「ありがとうございました。また来いよな」
「2度と来るかバカ!!」


神様なんで私はこんなドSを好きになってしまったんでしょうか。




暴君シェフと前途多難な片思い




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