オオカミはどちら?@/クラミノ のコピー | ナノ


仕事が一息ついたのでぐっと背中や肩をのばす。
"新しい牧場主が来る"
小さな町ではすぐに噂は広がる。
噂によるとどうやら女らしい。まあよく大変な仕事に就こうと思ったものだなと感心する。
彼女は明日に引っ越してくるようだが、仕事が立て込んでてどうやら家に引きこもるしかなさそうだ。
新しい牧場主に興味ないわけじゃないがもちろん仕事優先だ。
背中を伸ばし、気合を入れて調合を再開した。



徹夜で作業したせいかおぼつかない足取りで町を歩く。
とりあえずレーガの店に行って朝食を食べよう、それから納品の準備をして…と動かない脳を回転していたら前から軽い衝撃があった。

「おっとすまない、よく前を見ていなかったもの、で…」

ぶつかったのは見知らぬ女の子。甘栗色の柔らかそうな髪によく目立つ赤いバンダナ。大きな金色の瞳、白い肌。見ない顔だったがああ彼女が新しい牧場主なのだとなんとなく分かった。

「あんたが新しい牧場主か。オレはクラウスだ、この町で調香師をしている。これからよろしくな」
「ミノリです。はじめまして、クラウスさん。ふらふらしてますけど大丈夫ですか…?」
「ん?ああ、徹夜で仕事したから少しな…でも大丈夫だ。」
「無茶はダメですよ…。ってこんなこと初対面の私に言われなくても分かってますよね。」

ごめんなさい、とぺこりと頭を下げる彼女。正直どんな変わり者が来るのか、なんて考えてた自分を反省したい。
ミノリの頭に右手をそっと置いて、優しく撫でる。

「いいや、ミノリの言う通りだな。少し無茶をしたな」

そう言うと屈託のない笑顔で嬉しそうに見てきた。なんというか…

「…かわいい」
「今なんて言いました?」
「いやっなんでもない!」
「ならいいんですけど…あ、私エッダさんからお使い頼まれてたんだ。失礼します!」
「あ、あぁ…」

急いだ様子で走って行くミノリの背中を見送り、その場にしゃがみ込む

「まいったな…」

まさか歳の離れた少女に心奪われる、なんて。

「…これが一目惚れってやつか」

ああなんて柄にもない!




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