いわゆる両片思い/シュミリオ+セルカ | ナノ
※セルカ視点
「なあセルカ聞いてくれ」
「なんでしょうか」
「なんでリオはあんなに可愛いんだ...!」
「は...?」
「牧場という男でも大変な力仕事を毎日しているのに、体は華奢で抱きしめたら折れそうなんだ...!ほんと俺が守ってやりたいくらいだ」
「...左様ですか(また始まった)」
「それにな...!」
と、こんな感じでシュミット様のリオ様への想い(ただし付き合ってない)を聞く。
一瞬の隙を見計らい、用事があると言って外へ出る。こうでもしないとあの話は延々と続くのだ。
シュミット様の想い人であるリオ様の牧場に行くと、彼女は木陰で座って休憩していた。
「セルカさん、こんにちは!」
「こんにちはリオ様」
「今日はどうなさったんですか?」
「少し気晴らしに、と」
まさかシュミット様が延々と貴方の話をしていたから避難してきたとは言えず、彼女の隣に腰掛ける。
「あの、セルカさん...」
「はい、なんでしょうか」
「シュミットには彼女とか、国で決められた婚約者とかそういうのはいないんですか...?」
「は...」
「あ、いや少し気になって!ただの疑問です!」
これ以上にないくらい顔を真っ赤にし、あたふたしながら言うリオ様。もしやこれは。
「いや、そういう方はいないと思いますが...」
「ほんとですか!よかった...」
この2人はいわゆる両片想いというやつですね。
「リオ様はシュミット様がお好きなのですね」
「えっ、いや、あの」
「告白はなさらないのですか?」
「...きっと振られちゃいますよ」
「いや、それはないと思いますが...」
「ありがとうございます、セルカさんはいつも優しいです」
嘘は言ってないのだがどうやら彼女には伝わってなさそうだ。
見ている分には微笑ましいのだが、少し焦れったい気持ちにもなる。
ああほんと早く言えばいいのに!
いわゆる両片想い
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苦労人セルカさん