小指で永遠の約束を | ナノ



結婚して半年くらい。二人での生活ももう慣れた。ただ少し心配なのがここ数日、アカリの体調があまりよくないみたいで。

「ちょっとアカリ...病院行った方がいいんじゃ...」
「大丈夫だよ!心配症なんだから〜」

なんて呑気に笑っているけど、普段と全然違う。心配だから無理矢理クリニックに連れて行った。途中何故だかインヤさんに出てけと言われたため、大人しく家で待つことに。まったくなんなんだ。まさか深刻な病気だとか...?いやいやきっとそれはない。そう思っているとアカリが帰ってきた。


「おかえり、アカリ。どうだった?」
「えっと...赤ちゃんが出来てたみたいで」

僕とアカリの二人の子供?信じられない。目の前が霞んでくる。

「っありがとう、アカリ...」

そう伝えるのが精一杯で、うまく言葉が出てこない。代わりに涙が溢れ出る。嬉し泣きってほんとにあるんだ。

「僕が父親になるんだ...考えたこと、なかった」
「私もびっくりしたよ、ほら泣き止んでパパ」

その響きがくすぐったいけど、すごく心地よい。

「...っそうと決まったら今後絶対無理は禁止!それと体が辛いときは必ず言って、出来る限りの仕事をするから。それと、ええと」

他に何か注意しなきゃならないことはないか。あとでクリニックに色々と聞きに行かなきゃな。

「チハヤ、ありがとう。私も注意するよ。あ、じゃあ私からも一個お願いしてもいい?」
「なんだい?」

アカリは遠慮しがちに小指を目の前に出した。

「あのね、絶対この子を一生愛してほしいな。どんな子が生まれてきても、ね」
「...そんなの当然だろ」
「うん、分かってるけどね。この子は望まれて生まれた子なんだって、しっかり伝えたいの」

小指を絡めて、小さい子のように約束をする。

「僕は君も、僕らの子供も一生守り、愛するから」

二人でいっぱいの愛情を与えて育てていこう。そう言う前に抑えられていた涙がまた溢れだした。いつからこんなに泣き虫になったんだろう。きっと全部アカリのせいだ。こんなに愛おしい気持ちも、涙が出るくらい嬉しい気持ちも、全部。そう思いながらアカリを抱きしめた。


小指で永遠の約束を





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -