暖かい大きな掌 | ナノ


自分で言うのも変な気がするが、かなり抜けている方だと思う。
卵を落とすことなんてよくあるし(コッコさんいつもごめん)何もないとこで転ぶこともよくある。いつものことすぎて、もうあまり気にしてない。ただ今回ばかりは転び方とか相手が悪かった。

「...いっつもこんな派手に転んでるわけ?」
「普段はもう少し軽いんですが」

よりによってちょうど店から出てきたチハヤの前でかなり派手に転ぶとは。
膝から血が出てズキズキする。地味に痛い。

「ほらアカリの家まで送るから」
「いやいや大丈夫だから」
「ダメ。また転んだらどうするの」

そう言って何事も無いかのように手を握られる。一瞬どきりとして、顔に熱が集まる。落ち着け、落ち着け!チハヤはただの親切なんだから。

「...君も女の子なんだから、気をつけなよ。心配するだろ」
「えっ」
「一応ね!一応!」

チハヤが私のことを女の子だと認めていることに驚いた。こないだまで人のことを馬鹿にしてたくせになあ。
なんだか繋がった右手の熱が心地よい。あ、意外とチハヤって手が大きいんだ。女の子みたいな顔してて細いのに手はしっかりしてる。ちゃんと、男の子なんだなあ...。
そんなことを気づいてから心臓がうるさい。手を振り払いたいのに、ずっと握っていたい。家まで着かなきゃいいのに。そう勝手に願いながら2人で歩いた。


暖かい大きな掌





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お題連載です。




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