憂鬱な雨の日/まほアカ | ナノ



最近雨がよく降る。
作物の水遣りをしなくて済むが、動物を放牧できないから動物たちも少し元気がないようだ。自分も気が滅入ってしまいそう...いやいや、自分が落ち込んでいてもしょうがない。

そう思って今日もきっと難しい書物を読みふけっているであろう彼の家に遊びに行く。

「こんにちは!」
「アカリ...」

最初はあまり反応もしてくれなかったが、毎日遊びに行くようになってからは会話も続くようになった。


「雨は…きらいだ…」
「そうなんですか?」
「星が…見れないから…」
「あ、たしかに...」


窓の外を眺めながらそっと彼は呟く。厚い雲が空を覆うせいで、彼の好きな星を眺めることが出来ない。魔法使いさんの顔はどこか淋しげだ。


「...私は好きですよ」
「え...?」
「あ、いや、だって!魔法使いさんとたくさん喋れるから!」


あれ、何言ってるんだ。雨はあまり好きじゃないのに。顔が熱い。私は今何を言ってしまったのか。どうしよう、すぐにでも逃げたい。でも逃げたくない。


「それなら...俺も雨、好きになれそう...」


そう言って優しく笑うから思わずくらりとした。そんな笑顔は反則だ...!

「アカリ...?」
「あ、おっお邪魔しました!!」

そんな自分を見られたくなくて、急いで家を出る。今も冷たい雨が降っている。雨で身体は濡れていくのに、熱は一向に冷めない。熱いままだ。どうしよう、どうしよう、どうしよう。私、今絶対に変だった。


「(しばらく魔法使いさんの顔見れない...!)」


でも毎日遊びに行っていたのに急に行かなくなるのもおかしい話だ。でもやっぱり....!そんなことを考えながら家に走った。
ああ明日からどうしよう!



憂鬱な雨の日






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