鎖の少女

バタンと大きな音がするのも構わずにドアを閉めた。
そのままずるずると座り込んで膝を抱える。


誠二と会っていたのに、ずっと私の心の中にはあいつの顔が浮かんでいた。帰ろうと思ったときに、ここに戻ってくることしか頭になかったなんて。

弟だなんて関係ない。誠二が幸せでいるなら構わない。私の世界の中心は誠二のはずなのに。

それなのに、誠二とは似ても似つかない、ふざけた笑みを浮かべたあいつの隣にいることが、いつの間にか当然になっているなんて。


狂ってる。
この街は皆狂ってる。

ヒトでないくせに相思相愛な闇医者と首なしライダーも。偽物の愛を育む誠二と張間美香も。人間を愛してると言うこの男も。
そして、いつの間にか抱き寄せられた腕にすがってしまう私も。

私が愛してるのは誠二だけよ、と呟けば、抱きしめる腕に力がこもって、偽物の愛も愛の一種だろう?、とうそぶく声に目を閉じる。


鎖の少女


(もう何もかも嫌になる前にホントノ愛ヲクダサイ)





ボカロ曲より。
内容的には違うのですが、最後の一文が臨波に聞こえて仕方がない。





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