足が寒い。
突然そう言って臨也がこたつを買ってきた。
床暖房にした方があったかいわよと言えば、こたつにみかんが冬の楽しみじゃないか!なんてふざけたことを力説する。
どこまで本気か分からないけれど、せっかくあったかいものがあるのに使わないほど意地をはる理由はないので、2人で向かい合って温まる。
「年末ってほんとにくだらない番組しかないよねー」
2人でこたつに入りしばらくテレビを見ていたが、あまりにくだらないので波江に声をかけた、まま固まった。
こたつの向かいで同じようにテレビを見ていたはずの波江は、いつの間にかこたつに突っ伏して可愛らしい寝息を立てている。
「……ここしばらく忙しかったからね。まぁ、偶にはいいんじゃんない」
そう言って、こたつに両肘をついたまま波江の寝顔を眺める。
「仕事はできるし、美人だし、美脚だし。ほんとにブラコンじゃなきゃ完璧なのにね。あ、でも、そうじゃなきゃオレとなんか出会うこともなかったのか。ハハッ。その点は弟くんに感謝かな」
おもむろに机の上に散らばる黒髪をひとふさすくって口づければ、さらさらな黒髪は手のひらをするりとすり抜ける。
「…オレにしとけばいいのに」
そう呟いて白い頬に映える紅い唇に指を伸ばせば、気配に気がついたのか、波江がぴくりと体を揺らす。
「せい、じ…」
口からもれてきた言葉に大きく溜息をつくと、宙に浮いたままだった手でそっと頭をなで、
「…ここにいるよ、姉さん」
と、優しく囁いた。
その言葉にふわりと微笑み、再び眠りについたのを確認して、さっきよりもさらに大きな溜息をつく。
「ったく、新年早々、やってらんないな…」
夜中に寒さで目が覚めた。
こたつの温かさに思わず寝てしまったらしい。
誠二が夢の中に出てきたような気がして、目が覚めてしまったことを少し惜しく感じる。
「でも、新年早々、誠二の夢を見るなんて、今年はいいことがあるかもしれないわね」
うっとりしながら顔を上げれば、すっかり存在を忘れていたこの部屋の主で波江の雇い主が、波江と同じくこたつで眠っている。しかも、思いっきり眉間にしわを寄せて。
「まったく。普段の行いが悪いから、悪い夢なんか見るのよ。バカな人ね」
今年も変わらず
(きっとこのままの関係)