グリーンとリーフ





「くっきー、はっぱカッター!」


草木の間から聞こえてきたのは、幼なじみが持ってたフシギバナのニックネーム。
草木分けて見ると、予想通り幼なじみの姿がある。

(実はその姿が嬉しかったりして、)



舞い上がる葉が、相手を切り裂く。

「あっ、いった…」

ついでに主の肩も切ってしまった。

悪いのはフシギバナの方ではなく、ポケモンとの距離が近すぎるトレーナー。


(はぁああ、)
ため息一つ。

「ばっかじゃねーの?」

ばっかの部分にアクセントをつけて言い放つ。
華奢な肩をビクッと揺らしてから、幼なじみは振り返った。


「あっ、グリーン!久しぶりー」

「あほか、何が久しぶりーだよ、馬鹿リーフ」

「うぅ…そんなにバカとかあほとか言わなくても…」
(そんな上目遣いで涙目…、やめろ頭がおかしくなる)

「あーっ!!」

すぐさま目は離れていった。

「あー…ニャース、行っちゃった…」

標的が、今の隙をついて逃げ出したためである。
相当ショックだったらしく、リーフは地面にへたり込んだ。


「やっぱりあほじゃん」

「むー…そんなことないもん…」

こいつの変なところは、どんな皮肉も理解できない癖に、バカとアホの単語には反論をしてくるところだ。
結論づけると、やっぱりあほ。

「ニャースも捕まえられないし?」

「また探すからいいもん」

「自分のポケモンの攻撃食らってるし?」

「こんなのなめれば治るもん」


そういえば昔、悪口を浴びせすぎて泣かせた事が度々あった。
頬を膨らませて座り込む姿は、十何年前に見ていたのと変わりない。


悪戯心が擽られる。


おもむろにリーフの腕を掴む。

(あぁ、何て細いんだ)

細く伸びた赤い傷口。


「グリー………ひゃっ!!?」

それを軽く、口に含む。
同時に細い肩が強張るを感じた。


「な、何するのっ!?」

唇の端がくくっ、と上がる。

「なめれば、治るんだろ?」



「そう言ったけど…」

掴まれた腕を振り払うこともせず、じっと見つめてくる亜麻色の瞳。

お互いの視線が至近距離でかち合う。



「……変なグリーン」

「は?」


「マサラを旅立ってから随分変わったよー」


目前の幼なじみは、顔を赤らめる事もせずに、いけしゃあしゃあと言ってのけた。




(そりゃそうだろ、
お前が変わって無いんだから)

(変わったのは、俺の)





お題提供/無気力少年。



2012/03/26




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