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 捕縛されました。誰にって、波紋戦士の皆さんにです。どうやら数日前にうっかりカーズ達と一緒に居たところを見られて以来、私はカーズ一味の者だと思い込まれていたようだった。全然違うのに。私は一般人かつ被害者なのに。
 太陽の光に晒されたり波紋を浴びせられたりと、幾つかのチェックを通過して、漸く私が人間であり、敵ではないと信じて貰えたらしい。…いや、まあ正直少しは疑われているみたいだが、それは仕方ない事だ。

 厳重に巻かれた縄やら鎖やらを解かれ、自由になった体を伸ばす。そういえばいつも暗い所にいるから、太陽の光に当たったのは久しぶりだなあ。暗がりの生活にすっかり慣れてしまっていたから、私の体内時計はすっかり狂ってしまっている。

「は〜、やっぱり日の光は気持ちいいですね」
「…貴女が害のない人間という事は分かりました。けれど、何故柱の男たちと行動しているのかしら」

 せっかく友好度でも高めようかと話題提供したのに無視か。しかもいきなり核心に迫るような話題ぶっ込んで来たよこの美女さん。そりゃあ聞きたいだろうけどさ、もう少し時間を置いたりとかね…。しかし、聞かれたからには答えない訳にもいくまい。
 正直、私だって彼らとは一緒に行動なんかしたくないのだ。更に言うとするなら、波紋戦士の皆さんと行動したい。――そう話せば、リサリサさんは目を丸くした。じゃあ、何故。そう聞きたいんですよね、分かります。だけどね。

「何で逃げ出さないのか、私にも良く分からないんですよね。暇つぶしに殺されるわ吸収されるわ、毎日毎日散々な目に遭ってる。拘束されている訳でも、監禁されている訳でもない。それなのに、どうしてでしょうね、逃げてやろうって気にならなかった」

 本当はいつだって逃げる事が出来る筈なのに、私は今までそれをして来なかった。どうして、と聞かれても分からない。あの空間は私にとってマイナスの要素しか与えてはくれない筈なのに、私は何故か、あの空間から、…彼らから、離れる気になれなかったのだ。

「馬鹿ですよねェ、私。自分でもそう思います。私は一刻も早く、元の場所に帰らないといけないのに」

 私の言葉に、リサリサさんがきょとんとする。おっといけない、最後のは口が滑った。私が未来の人間という事はカーズ達にしか話していないのだ。それとなく取り繕っておけば、何かを察したのか、リサリサさんはそれ以上は聞いてこなかった。
 …仗助たちは、心配しているだろうか。ぼんやり考えて、何だか少し寂しくなった。哀愁でも漂っていたのか、リサリサ先生は「留まるか帰るかは貴女が好きになさい」と言ってくれた。

 もしも私がスパイだったら、なんて考えないのだろうか。実際は勿論違うし、頼まれても絶対やらないけれど。そんな事を思いながら、私は久しぶりの人間的な生活を楽しむべく、暫く此処に留まらせて貰おうと決め、リサリサ先生に着いて屋敷の中へと入った。




「うわ凄いちゃんとした建物…トイレも部屋もある…ベッドまで…明かりもついてる…何だここ凄い…」「………貴女随分と苦労していたのね」