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ギアッチョと間接キスする


【ギアッチョと間接キスすること】


命令とはいえ、ギアッチョさんと間接キスとか不可能に近いんじゃあないかと悩んでいたところをメローネさんに見付かり、協力して貰う事になった。私が口を付けたマグカップをギアッチョさんに渡し、こっそり間接キスしてしまおうというのがメローネさんの作戦だ。
何だか気が引けるが、知らぬが仏という諺もある訳で。メローネさんがさり気なく見守る中、ほんの少しだけ中身を飲んだマグカップを任務帰りらしいギアッチョさんに渡した。

「えっと、あの、お疲れさまです…」
「ああ、グラッツェ」

ギアッチョさんは何の疑いもなくマグカップに口をつけ、中身を飲み干す。うわあ、何だか変な気分…。知らないとはいえ申し訳ないなあ。メローネさんにちらりと視線を移せば、手紙が消えたと教えてくれた。
とりあえずこれで命令はクリアだ。ほっとしたのも束の間、メローネさんが何やら満面の笑みを浮かべて此方へやって来る。

「ねえギアッチョ、そのマグカップね、さっきユメコが口を付けたマグカップなんだよ」
「はあ?」
「!!?め、メローネさん!?」
「そういう命令だったんだよねー?羨ましいなあギアッチョ」

ニコニコと笑みを浮かべてすっかり暴露してしまったメローネさんに思わず固まってしまっていると、ギアッチョさんはそんな私の様子でどうやら本当らしいと気が付いたようだ。目を丸くしていたが、マグカップに視線を落として「お、お前なあ…!!」と僅かに声を荒らげた。

「ご、ご、ごめんなさいいいい!!!」
「は!?待て、今のはお前に言ったんじゃあ――ってコラ!聞けよテメェ!!待て!!!」

どうやらメローネさんに怒ろうとしたらしいが勘違いした私が逃げ出し、それをギアッチョさんが追って来て、プチ鬼ごっこが始まるまであと二秒。